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10式戦車近代を占う 後編

Japan In-depth / 2024年8月1日 23時0分

▲写真 EMBT ADT  出典:筆者提供





両社の最新型実証車に共通しているのは、無人砲塔だ。両社はこれまで有人砲塔の近代化案を提案してきたが、今回無人砲塔に大きく舵を切った感じがある。これまでの戦車は車長、砲手が砲塔内に座る有人砲塔を使ってきた。無人砲塔のメリットはまず重量の軽減である。乗員用のスペースがない分コンパクト化できる。また最も被弾する砲塔から、車体に乗員を移すことで乗員の生存性を上げている。もっとも130ミリないし140ミリ砲弾は巨大で自動装填装置が必要不可欠であり、大型の砲弾と併せて砲塔に収納される。





更に生存性の追求である。特に偵察や徘徊型ドローンに対する対抗策を施している。具体的にはドローンジャマー、ドローンを迎撃するためRWS(リモート・ウエポン・ステーション)を砲塔に搭載している。RWSは機銃などの火器と暗視装置やレーザー測距儀、安定化装置などを組み合わせたもので、対歩兵用にも使用されるが、対ドローン用に仰角を大きくしたものを採用している。また煙幕投射装置も自己防御システムと連動して、対レーザー照射、赤外線含めた妨害が可能を採用している。





さらに敵の砲弾やミサイルを迎撃するAPS(積極防御システム)を採用している。APSは敵の誘導などを幻惑する非直接方式と、グレネードなどで敵弾を撃破する直接方式が存在する。また砲塔や車体上部の装甲が強化されている。逆に戦車にドローンを搭載して索敵や攻撃に使用や、より遠い敵を撃破するための対戦車ミサイルの搭載も提案されている。





装甲も耐地雷・IED防御含めて強化されている。無論ネットワーク機能も拡充されており、味方の砲兵や歩兵、攻撃ヘリ、ドローン、無人車輌などと密接な連携が取れるようになっている。当然これらの機器を動かす電力を供給する出力の高い補助動力装置も必要だ。





主砲の自動装填装置を採用すれば装填手は必要なくなり、乗員は10式同様に3名で済むが、これらのシステムを担当するクルーを含めると4名のクルーが必要である可能性が強まっている。





先述のようにMGCS(陸上主力戦闘システム)計画は大きく遅延しており、実際に配備されるのは2030~35年となる見通しだ。今回の展示はそれを見越した技術実証と、MGCS実現までギャップを埋めるための既存戦車の近代化提案を兼ねている。MGCS自体、コスト面からみても不要で、既存戦車の改良で十分だという声も欧州の軍や政界では存在している。





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