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10式戦車近代を占う 後編

Japan In-depth / 2024年8月1日 23時0分

仮に欧州やその他の軍隊が現用戦車の近代化で2030年代まで乗り切るとするのであれば、10式にこのような近代化が可能だろうか。10式は裸の重量が40トンを超えると本州で運用のために40トンにする必要があるという「設定」が瓦解する。





そうであればユーロサトリで提案されたような無人砲塔の採用による軽量化で、増加する重量を相殺するしかない。RWSや各種防御装置、ドローンなどを搭載すれは数トンの重さになる。上面装甲を強化するなら更に重たくなる。無人砲塔を採用すれば数トンの軽量化は可能だ。履帯をポリマー製にすれば更に1トンは軽量化ができるだろう。これによってかなりの重量増加を吸収できる。だが10式の狭い車体に3名ないし4名のクルーを収容は不可能だろう。クルーを車内に収容するには車体を前後に延長し、転輪も増やして車内容積を増やす必要があるだろう。だがそうなれば車体重量は増えるので本末転倒になる。





10式が主砲を換装するにしてもNATOで採用されるデファクトスターンダードの規格を採用する必要があるだろう。仮に130ミリ、140ミリの大口径砲を採用した場合、軽量の10式で130ミリあるいは140ミリ砲弾射撃時の反動を吸収できるかも問題点となるだろう。





既に述べたように陸自の装備の中で重要性、優先順位はかなり低い。その戦車に多額の費用やリソースを掛けて近代化を進めるべきではない。10式の近代化は巨額の費用をかけて大々的に行うべきではなく、必要最小限に留めるべきだ。





まず10TKNWの更新だ。これは単に戦車だけではなく全ての車両、システムを含めて見直すべきで、戦車のネットワーク化の見直しもその一部として行うべきだ。このようなネットワーク化に対する投資は巨額となり、戦車に多額の投資をする余裕はなくなるだろう。





先述のように他国の戦車のように車体容積に余裕がないので車内にクルーを収納して無人砲塔を導入することは困難だ。であれば砲塔はそのまま、ということになる。ポリマー製履帯を採用して1トンほどの軽量化を行い、それで浮いた重量をRWSや、対ドローンシステムなどの搭載に当てるべきだ。つまりは必要最低限の近代化に留める、ということだ。こうすれば北海道以外での運用可能という「設定」を維持できるだろう。コストは最小で済む。





更に戦車の定数を大幅に削減し、その戦車の近代化は最低限に抑えるべきだ。余った戦車はモスボール保管しておけばいい。浮いた資金をネットワーク化、装甲車両全体の近代化、ドローンなどの導入に当てるべきだ。戦車の一点豪華主義では国防は全う的ない。





木を見て森を見ず、ではなく、陸自全体の編成や装備体系をよく考え、優先順と費用対効果を考えて行うべきである。





トップ写真:ドイツ軍などが採用したレオパルト2の最新型 出典:筆者提供




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