県議選・米兵犯罪・死亡事故で揺れる沖縄政治
Japan In-depth / 2024年8月6日 11時0分
この米空軍兵の事件の通報遅れが明らかになったのちに、同様のケースがいくつもあることが分かってきた。米兵の権利保護を優先する日米地位協定の壁があるうえに、日米同米強化を進める政府は、県へのスピーディーな通報には及び腰だった。沖縄からの激しい反発を受けて、さすがに政府は居直りを決め込むわけにもいかず、重い腰を上げようとしている。とは言っても、過去の経緯を見る限り、実効性がある措置を実施される保証はない。
■ 名護市安和で警備員の死亡事故はなぜ起きたのか
琉球セメントは、名護市の安和地区で、辺野古工事用の土砂を採掘し、搬出している。同地では、辺野古移設に反対する活動家たちが、工事を遅らせるために、土砂を搬送するダンプの前を故意にゆっくり歩く、牛歩戦術を行ってきた。
6月28日、抗議活動中の女性と、彼女の動きを危険と見て制止しようとした警備員の両者がダンプに巻き込まれ、警備員が死亡し、活動家は重傷を負った。この事故の直接の当事者は、ダンプ運転手2名と活動家2名、警備員1名、誘導員1名であるという。死傷した警備員と活動家が、誘導員とダンプ運転手の死角に入ったと考えられるが、捜査中であり詳細は不明である。
したがって、現時点(8月4日)でこの問題を語るのは時期尚早かもしれない。だが、「オール沖縄」の本質に関わる事件であることを考慮し、公表されている情報や、一部の県民の反応などを踏まえ、以下に暫定的なコメントを記す。
以前から活動家と警備員たちの安全確保に不安を抱いた琉球セメントは、道路管理者の沖縄県にガードレール設置を要請してきた。だが、ダンプなどが乗り入れる部分が本来歩道であるため、あくまで歩行者の通行が優先されるとして、県は設置を見送った。しかし、死亡事故が起きたため、県と県警の安全対策のあり方と、抗議活動の方法をめぐって、県議会などで激しい論争が始まっている。
7月18日に、「オール沖縄」の中核組織であり、現地闘争にも関与する「オール沖縄会議」は、この事故についての声明を発表した。(注:「声明」は「オール沖縄会議」の公式ウェブサイトに掲載されている)
「声明」は、最近まで抗議現場では「警備会社・事業者・抗議者の間で、(中略)『暗黙のルール』ができていた。抗議活動は安全に配慮して行われた」のだが、警備会社と「工事の元請業者が変わったためか、ダンプの誘導方法が強引になり、(中略)危険な状態が発生するようになった」と述べている。
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