蒼(あお)を生きる―東大を訴えた青年の今―
Japan In-depth / 2024年8月30日 11時9分
● 蒼白な顔をした男の子
前回、MRICに寄稿したコラム(注1)でも記した通り、杉浦さんを取材することになったのは、灘高校時代の彼の担任(片田孫朝日さん)が、記者になる以前からの知り合いだったことがきっかけでした。
杉浦さんの裁判に関する片田さんの投稿をSNS上で見かけた際、受験業界では1つのブランドとして確立する「東大理Ⅲ」に現役合格し、将来の活躍が期待される立場でありながらも、一体なぜ顔も名前も晒してリスクのある道を選ぶのだろう、と関心を持ったのです。22年10月、彼が登壇するシンポジウムに出席。本人に挨拶をして取材をスタートしました。
初期の杉浦さんには、か細く、どこか思い詰めた印象がありました。
シンポジウムから約1週間後、都内にある喫茶店に現れた杉浦さんは、裁判に至るまでの経緯について、名前の通り、蒼白い顔で滔々と語り続けました。訴訟を提起した後は人間不信に陥り、食事が摂れなかった時期もあるといい、取材時の約2時間は目の前にある珈琲やお菓子にまったく手もつけようともしませんでした。
住んでいるマンションにはキッチンがなく、食事はカップラーメンで済ませいたり、抜いてしまうこともある。生野菜は苦手で、サラダは好んで食べない……。普段の生活について聞くと、医学生という立場は抜きにして、ちょっとダメな部分もある普通の男の子だな、という印象を持ちました。
口数は少なく、普段はどちらかといえば静かでおとなしいキャラクター。それだけに何を考えているのかわからない部分もあり、裁判を起こした時は驚いたーー高校時代の担任や、東大医学部の同級生から聞いた話などを総合しても、周囲が杉浦さんに抱いている印象は、おおむねこのような方向性で一致していました。
LINEを送ればすぐに返信をくれることもあるのですが、既読がつかなかったり、1~2日程度返信が途絶えてしまう。裁判の進捗について本人からの報告がなく、報道や共通の知り合いのSNSを通じて、その経過を知ることになる。
そのような出来事が続いて、私自身、取材者として不安な心境に陥った時期があることも、告白せねばなりません。
このままでは自信を持って杉浦さんについて伝えられないと感じ、本人と対面してその点を指摘したこともあります。杉浦さんは怒りも謝りもせず、自身の行動や発言の真意を説明した上で、対人関係においてできること、できないことを冷静に伝えてきました。
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