自民党総裁選挙 9 石破茂氏「政策分析」と「人事評価」
Japan In-depth / 2024年9月27日 9時48分
西村健(NPO法人日本公共利益研究所代表)
【まとめ】
・石破氏の政策の特徴は、アベノミクスからの新たな路線変更と、地方創生をリセットする」との問題意識。
・防衛政策において「エビデンスに基づく政策推進(EBPM)」の考え方が明確。
・課題は、金融所得課税などの富裕層への応分の負担の議論をどう進めていくか。
「政治家は勇気と真心をもって真実を語る。それができないのは政治家をやめよ」。
これは故・渡辺美智雄氏の言葉である。石破さんはその言葉を胸に秘め、長年、政治活動をしてきた。3年前に自民党総裁選に出馬せずあえて区切りをつけたにもかかわらず、立ち上がった石破さん。「自民党や日本が大きく行き詰まったときではないか」というタイミング、「自分の理想とする政治を実現するために内閣総理大臣という職がある」という使命感。ついに立ち上がる時が来た。
「ルールを守り国民に信頼される政治。日本を守り、国民を守り、地方を守り、そして未来を守る。そのために全身全霊で臨んでいく」との決意で、今回を「最後の戦い」として位置づける。
・まじめに政策を勉強し、周りから信頼を少しづつ集めていく
・人と群れず、親分子分の関係を結ばない
・政策立案こそ政治の王道である点にこだわる
・民主的でオープンでリベラルかつ自由闊達に議論を行う
・相手の主張に対して寛容性を持って聞く、受け入れる度量を持つ
・あらゆる角度から入念な議論を地道に積み重ね、納得感を得て、妥協点を見出す
・誠実に向き合い、説明責任と納得を重視する
・内部からの批判を許さないという非寛容な体質に納得せず、厳しいことであってもモノを言う
・公平公正さ、謙虚さを持つ
そう、今回の戦いは石破さんの「生き方」と日本政治との勝負なのだろうと思う。
◆石破茂氏とは?
1957年2月4日、千代田区生まれ。建設事務次官だった父、石破二朗さん(のちに鳥取県知事、参議院議員も務める)、母、和子さん夫妻の長男として生まれる。上に姉が2人いて、いずれも女子学院から東京女子大を経て教師になったそう。吉田茂から「茂」の名前をもらった。1歳まで東京にいて、鳥取県八頭郡八頭町で育つ。国立鳥取大学附属小学校、中学校に進む。自身をのんびり屋、鳥取砂丘で「人間とは何だろう」とか思っていて、「変わった子」だったと自身が語る。高校は地元を出て、慶應義塾高校に進学した。英語、国語、古文、漢文が得意で数学と物理が苦手だったそう。雑誌「法学セミナー」を高3の夏休みに鳥取の本屋で読み、刑法の問題にはまった。「ここが生きる世界だ!」と思って迷うことなく慶應義塾大学法学部法律学科へ進学。1979年、株式会社三井銀行入社。サラリーマン生活をしていた。父が亡くなり、田中角栄氏がいざない、銀行員をやめて田中派の木曜クラブ事務局員になった。
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