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海自の艦艇は脆弱で戦争ができない

Japan In-depth / 2024年11月19日 16時10分

 


これで事故や戦闘による負傷者がでれば治療が受けられず助かる隊員も死亡したり、重篤な後遺症を残すことになる。それは「人災」である。筆者は長年歴代の防衛大臣にこの件を質してきたがいっこうに改善する気配はない。


 


端的にいえば充足率の低い海自の艦艇は練度が低くなり事故を起こしやすいし、戦時に撃沈されやすい。乗組員が死亡する確率は高い。防衛省は海自艦艇の乗組員の充足率を「相手に手の内は晒さない」として非公開にしている。その「相手」とは納税者のことではないか。乗員の充足率が満足なレベルであれば公開しても何ら問題はない。公開できないのは恥ずかしいレベルであるからと見れなくもない。


 


実は海幕が2009年に「海上自衛隊抜本改革の実行上の指針」を発表している「長期にわたる航海で一般社会から離れるなどの厳しい艦艇乗員としての勤務環境と、現代の若者気質が乖離」とし、護衛艦隊部隊の充足率の向上、定員の考え方の見直し、業務の削減と効率化、女性自衛官の採用・登用の拡大、多角的な広報の推進とし、「護衛艦部隊の充足率については、2014年度までには90%以上に回復することを目標とする」とされていた。2021年に山村浩海幕長は筆者の質問に対してこの目標は達成されたと解答した。


 


だがそうであれば充足率は満足できるレベルであり、乗員不足は解消しているはずだ。隠す必要はあるまい。筆者が取材する限りこれは事実ではなく、「大本営発表」に思える。実際に海賊対処などに派遣される護衛艦は乗員を掻き集めて送り出していると聞いている。またこの計画で輸送艦などの他の艦艇の充足率の触れていないのは帝国海軍以来の攻撃力偏重だ。


 


そもそも海自の艦艇勤務は過酷である。狭い艦内で長期の航海であり自由が少ない。その上いじめ、パワハラ、セクハラが横行してきた。人気がないのは当然だ。だから中途退職も多い。中途退職が多ければ他の乗員に余計に負担が増えるので更に中途退職が増える悪循環となっている。海自は最近艦内でWi-Fiの利用可能にしたり、居住環境を改善したりしている。また3年後をめどに、9割の艦艇へのスターリンク導入を目指すとしている。これらは必要な措置だが、応募数を増やしたり、中途離職者を減らすことに成功していない。


 


対して同じ「船乗り」が多い海上保安庁では「海上安保体制強化に関する方針」を平成28年に定めて中途退職者を減らしている。具体的には入庁後のミスマッチ要因(業務イメージの乖離等)の削減、 柔軟な人事管理(ストレスの少ない初任地配属等)、 相談体制の充実(悩み等の早期把握と対応等)、その結果、急増している若年層(30歳以下)の中途退職率は、近年で1%程度に抑制されている。


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