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海自の艦艇は脆弱で戦争ができない

Japan In-depth / 2024年11月19日 16時10分

 


クルー制の導入が成功すれば乗組員の負担は劇的に減るはずだった。問題はそれを国民から隠そうとしたことだ。このような失敗してもバレなければいいという組織文化のために自衛隊では自己変革や失敗のリカバリーができないという組織的な欠陥がある。だから人手不足に対する対策もおざなりとなっている。


 


我が国は少子高齢化が進んでいる。石破政権は自衛官の処遇改善に力をいれるとしているが、現実問題として現在の兵力を維持するのは無理がある。昨年度に確保できた自衛官は目標の半分にとどまり、過去最低を更新した。財務省の財政制度分科会(令和6年10月28日開催)防衛資料によると自衛官候補生の採用数は激減している。また特に任期制自衛官である「士」、いわゆる「兵隊・水兵」の充足率もこれまた低下の一途を辿っている。「士」の充足率は7割弱となっているが、これは士長、1士、2士の合計であり、士長を除けば4割程度に過ぎない。(資料P12)


 


また同様に「18~32歳人口見通し」は右肩下がりであり、「18~60歳人口と自衛隊の定員・現員について」みても人口は右肩下がりであるが、定員は横ばいに対して現員は低下の一途を経とっている。(資料P14)


いくら防衛省や自衛隊が定員や部隊数を維持すると頑張っても環境がそれを許さないのが現実だ。


 


そうであればこのような現実を鑑みて定員や部隊数を削減するべきだろう。特に海自の艦隊勤務は不人気であり、その中でも最も任務環境が厳しい潜水艦は尚更だ。潜水艦は先の安倍政権で16隻体制から22隻に大幅に引き上げられたが、この先の乗員の確保は不可能だろう。


 


防衛省もさすがに危機感を持っているようだ。実は来年度防衛予算概算要求の記者向けレクチャーに際して「第3回人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会」の中間報告が配布された。これは極めて異例である。


 


それだけ防衛省も隊員確保に本腰を入れてきたということだろう。だが方策は優等生的でイマイチ真剣味が感じられない。やりやすい方策に偏って、組織の根幹に関わる、実行に困難を伴う方策からは逃げている印象を受ける。例えば中途退職者は少なからず、いじめやハラスメント、異論を許さない組織文化に起因するがその組織文化を変革への取り組みには言及されていない。この体質が完全しない限り、待遇を上げても効果は薄いだろう。


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