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海自の艦艇は脆弱で戦争ができない

Japan In-depth / 2024年11月19日 16時10分

 


また同報告書のP25には海自の省力化の取り組みが述べられているが不十分だ。もがみ級FFM(そしてその後継)の導入を謳っているが前述のクルー制については述べられていない。FFMは従来の護衛艦の定員200名に対して、90名であり省力化とあるが、FFMは戦闘艦としての能力は低く、費用対効果は低い。勝てない艦をいくら増やしても無意味だ。むしろイージス艦などの高い戦闘力を持つ護衛艦を、数を減らしても導入すべきだ。


 


乗員140名の補給艦とわだの後継艦は100名と省力化されていることは評価されてもいい。


 


ただ海自は艦隊の縮小どころか、今後新たに平素から広域の常続監視を行うために新たに基準排水量1900トンクラス、乗員30名の哨戒艦を12隻導入する。乗員は都合360名、イージス艦1隻分強だ。だが哨戒任務であれば、無人機を導入した方が、より広域を効率よく、より少数の人間で監視できる。哨戒艦は探知能力も攻撃力も低く、海保の巡視船レベルだ。であれば平時の監視は海保に任せたほうがいい。因みに既に海保は海自に先駆けて無人機を導入している。世界の海軍に比べて海自の無人機導入は大きく遅れている。この哨戒任務を無人機に置き換えれば、もがみ級のクルー4隻分となる。つまり16隻分のもがみ級のクルー制を導入できる。


 


15日防衛省は遅ればせながら、海保も使用している無人機、「シーガーディアン」MQ-9Bを選定、23機を10年でと発表した。来年度予算案に取得費の一部を盛り込む。だがそれによる哨戒機や哨戒艦計画削減などは発表されていない。最大飛行高度は約1万2千メートル。武器や弾薬の搭載は考えていないという。しかも10年もかけるのはあまりにスローモーである。


 


海自は検討に時間をかけすぎて、先の中期防衛力整備計画整備計画で予定していた護衛艦搭載型無人機が製造終了となって調達できなかった。インド海軍も海自と同時の10月にMQ-9Bの採用を決定しているが、15機を一括契約、同時に空陸軍もそれぞれ8機の派生型であるスカイガーディアンを同時に発注している。


 


本格的に海上哨戒用のUAVを導入するのであれば、哨戒艦は必要ないし、P-1哨戒機も減らすことができて、かなりの省力化が可能だが、海自にその意図はないようだ。


 


繰りかえすが、今後の人口の推移をみれば現在の海自の艦隊規模を維持することは不可能だ。戦えないフネを無理やり維持することは税金のムダ遣いということではなく、自らを弱体化させて国防を危うくしている。自衛艦隊の無理な艦隊規模維持を一番歓迎しているのは中国海軍だろう。


 


「頑張ります」という根性論では問題は解決しないし、現実を納税者に事実伝えず、できるふりをするのは背信行為ですらある。できるというのであれば、具体的な数字と計画を納税者に示すべきだ。「相手に手の内を晒さない」という「相手」とは納税者のことなのか。防衛省と海幕は艦艇乗組員の充足率を納税者に公開して、問題の深刻さを共有し、外部の知恵も借りて対策をとるべきであり、また環境にあわせて現実的に艦隊のダウンサイジングを検討すべきだ。


写真:海上自衛隊の護衛艦 もがみ  (2022年11月6日 日本 横須賀)


出典:Photo by Issei Kato - Pool/Getty Images


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