2024年の沖縄政治を振り返る(上)宜野湾市長選挙と総選挙
Japan In-depth / 2024年12月19日 22時56分
また、「オール沖縄」は、本年6月16日の県議会議員選挙の宜野湾市区で社会民主党と立憲民主党が候補を立て、革新・リベラル票を奪い合って、ともに落選。2021年2月、社民党が分裂し、党員の半数以上が立民党に移籍して以来、両党の連携は難しくなっていたが、県議選での同士討ちによって関係がさらにこじれた。
「オール沖縄」を支える主要政党間の関係悪化は、低迷する陣営に追い打ちをかける。陣営のまとまりが欠け、当選の目途が立たないまま、桃原氏は敢えて出馬した。「オール沖縄」の不戦敗を避けるために。
玉城デニー知事は、3回宜野湾市入りするなど、桃原候補を全面的に支援する体制をとったかに見えた。だが、投開票日の当日、桃原氏の選挙事務所には、知事の姿はなかった。実は、開票を待つことなく、玉城知事は米国訪問へと旅立ったのだ。
これまで、重要な選挙では、知事は、必ず陣営の選挙事務所で候補者とともに開票作業を見守ってきた。だが、玉城氏は選挙敗北の瞬間を見たくなかったのだろう。事務所で寂しく落選の現実をかみしめた桃原氏。知事の行動は、桃原候補を応援した人々には後味の悪いものだった。
宜野湾市長選での敗北は、「オール沖縄」に重くのしかかる。宜野湾市には海兵隊の「普天間飛行場」があり、その移設先は、名護市の「辺野古区」である。つまり、宜野湾市と名護市は、「オール沖縄」の原点である「普天間・辺野古」を抱える「地元」そのものだ。
ところが、同陣営は、今回の宜野湾市長選で2012年以来5連敗となり、名護市長選でも2018年以来2連敗している。両市での市長選連敗は、陣営が掲げてきた「地元の民意」という主張の根拠が揺らいでいることを示す。
30年近い運動による疲労の蓄積、活動家の高齢化、辺野古移設阻止を訴えた裁判闘争での沖縄県の敗訴、工事の進捗。他方、コロナ禍、オーバーツーリズムや過剰投資による地価高騰に物価高が重なり、多くの県民は生活苦にあえぐ。辺野古反対を声高に叫ぶ、「オール沖縄」に対する人々の視線は冷ややかだ。
<総選挙では「オール沖縄」が善戦したかに見えるが、、、>
10月27日に投開票された総選挙の結果を見ると、沖縄では、小選挙区で自民2、「オール沖縄」2、比例復活は自民2、「オール沖縄」2であり(他に、比例単独で公明1)、互角であった。自民党への逆風が吹き荒れた本土とは異なり、当初、県内では自民が優勢と見られていた。だが、結果を見る限り、「オール沖縄」が踏みとどまったと言える。
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