2024年の沖縄政治を振り返る(下)4区の「オール沖縄」分裂とミニ政党などの存在感
Japan In-depth / 2025年1月19日 23時0分
れいわ新選組の政策は単純明快である。生活重視を徹底的に打ち出し、表現も分かりやすい。また、山本太郎代表のスピーチはパワフルである。固い表現を並べる共産党より魅力を感じた有権者が多かったようだ。
共産党はれいわと支持層が重なるため、れいわを極端に警戒する。沖縄における共産党とれいわとの冷戦は、「オール沖縄」を揺さぶりつつある。
れいわの問題は、政策が財政支援や減税を組み合わせた、総花的な「ばらまき」になっており、財源についての記述はほとんどないことだ。国債を大量に発行すればよいという考え方は、現実的ではない。「経済オンチ」を連発するなど、山本代表のアジテーションに眉をひそめる人も少なくない。
れいわの政策の基調は、「反戦平和、反資本主義」と言えるが、中国による人権抑圧や、強硬な外交・軍事戦略については口をつぐむという矛盾もある。
<参政党は「クリーンな保守」を打ち出した>
参政党は、沖縄では議席を獲得できなかったが、保守票の一部に食い込み、自民の苦戦をもたらした。同党の善戦した理由は、政策の打ち出し方を見れば理解できる。
天皇中心の国造りや、自虐史観批判、夫婦別姓反対など、かなり保守系タカ派の色彩もある。しかし、食品の安全性や自然環境問題を強く訴え、利権や既得権益層を徹底して非難するなど、自民党や立憲民主などがあいまいにしてきた分野に切り込んでいる。裏金問題や利権がらみの事案に嫌気をさした自民支持層の一部が、クリーンなイメージの参政党に投票したようだ。
同党は1区と2区では、自民の國場候補と宮崎候補を追い詰めた。3区で優勢と見られた自民の島尻候補は、参政党に12,000票以上の保守票を奪われ、苦戦を強いられた。
<下地幹郎氏の熱い支持層>
1区では、下地幹郎候補がかなりの存在感を見せた。維新の会(以下、維新)からカジノがらみのスキャンダルで除名され、後に処分が撤回された。だが、処分が取り消されたわけではなく、「正しい処分ではあったが、下地氏の維新への貢献を評価して撤回」したことになっている。そのためもあり、同氏の維新への不信感は強く、復党願いを提出せず、無所属で出馬した。維新公認であれば、比例復活が可能な票を得たことを考えると、下地氏支持者の心境は複雑だ。
▲写真 下地幹雄氏(下地事務所提供)
下地氏の強さは、自民党本流からはじかれた傍流保守の受け皿になっていることである。話し方の巧みさ、エネルギッシュな行動なども重なり、熱狂的な支持者が多い。
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