フリーランスの記者は害悪で記者クラブこそが正しいのか
Japan In-depth / 2025年2月1日 23時0分
清谷信一(防衛ジャーナリスト)
【まとめ】
・フリーランス記者の排除を求める論調は危険、記者クラブは民間の一任意団体に過ぎない。
・記者クラブの記者は専門知識が欠如しているにも関わらず、会見への参加が優遇されている。
・記者クラブは会見を囲い込み、役所と友好的な関係を構築。日本もプレスパス制度の導入を検討すべき。
1月27日から翌午前2時半まで続いた、元タレント中居正広氏(52)の女性トラブルを巡るフジテレビの記者会見でフリーランスの記者に批判が集まっている。SNSでは「きちんとした会社の記者クラブ」メディアだけを参加させるべきだという意見も少なくなく見られた。
一部のフリーランスの記者の行状をフリーランスは全部同じだから、「大きな会社」の記者クラブメディアに任せろというのは極めて危険だ。そもそも会見で問題となった「延々と自説を開帳する」「司会の制止を聞かない」「相手の発言を遮って話す」というような行状は記者クラブの記者である望月衣塑子東京新聞記者も行っていた。彼女の行状までフリーランスのせいにするのはやめて欲しい。フリーランスの記者の一人としていわせてもらえれば、程度の悪い記者はフリーランスにも記者クラブメディアの記者にもいる。防衛省の会見で延々とお気持ち表明をする記者はいる。
そもそも世界で日本以外はジンバブエぐらいにしか存在しない記者クラブが優れたシステムなのか。良いシステムであれば多くの国で採用されているはずだが、日本の影響で記者クラブ制度を持っていた韓国もとっくの昔にやめている。
このような混乱を招いた原因の一つは記者クラブによる会見の囲い込みだ。官公庁や大企業、経団連などの会見は記者クラブが囲い込んでおり、他の媒体やフリーランスを排除している。だからフリーランスの記者が会見で質問する経験を蓄積できない。
他国では公的な機関が一定の水準と実績を満たした記者にプレスパスを発行することが普通だ。そのようなシステムがあり、パス保有者だけを参加させれば今回のような混乱は無かったのではないか。海外の取材ではこの手の公的なプレスパスを求められることが少なくない。そのようなシステムが存在しない先進国は日本ぐらいだ。
筆者はフリーランスだがドイツの防衛専門誌の記者の立場で外務省のプレスパスをもっているので防衛省の会見にも参加できるし、外国での記者として証明として使える。だが不思議なことにこのパスには「このパスはIDではない」と記されている。
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