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【海外発!Breaking News】認知症の妻(86)を殺害した夫(84)に実刑与えず 判事「この判決は全く持って特例」(英)

TechinsightJapan / 2018年11月26日 21時30分

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老々介護の厳しさは日本でも頻繁に伝えられているが、このほどイギリスで84歳の夫が10年にわたり介護してきた86歳の認知症の妻を殺害するというニュースが『Manchester Evening News』『Daily Record』などで報じられた。

グレーター・マンチェスター、ストックポートのガットリーで60年以上にわたりともに人生を歩んできた老夫婦に悲劇の結末が訪れた。夫ローレンス・フランクス(84歳)は今年7月7日、老々介護に疲れ果て妻パトリシアさん(86歳)を殺害した。

10年前に認知症と診断されたパトリシアさんの介護については、ローレンスは外部の誰のサポートも受け入れようとはしなかった。日に日に容態が悪化していくパトリシアさんを考慮したソーシャルサービスが援助をオファーしてもローレンスは拒否し、親族らが施設に入れることを勧めても断ってきた。夫婦の間に子供はおらず、ローレンスは心から愛している妻に「絶対に施設には入れない」と約束し、献身的に介護をしてきた。毎週パトリシアさんを美容院へ連れて行き、妻が少しでも住みやすいようにと家の改装も行っていたという。しかしパトリシアさんは身動きすらできず失禁を繰り返す状態にまで症状が悪化し、夫のことも認識できなくなってしまった。

自らの健康状態も芳しくなくヘルニア手術を受けて退院したローレンスは、その数日後に我慢の限界に達した。7月7日に妻との約束をもう果たせそうにないと思ったローレンスは、建築現場の足場用ポールを掴んでパトリシアさんの首の後ろを数回殴りつけた後、枕で窒息死させた。

11月22日にマンチェスター刑事法院で行われた裁判で、ローレンスは心神耗弱(限定責任能力)の状態で妻を殺害したこと(過失致死罪)を認めたものの、殺害時は慈悲の行為をしていると心から信じていたことを明かした。法廷には、ローレンスをサポートしている親族や友人、隣人らが駆けつけており、判決を見守った。愛する妻に「施設に入れない」と誓った約束がこのような悲しい形で実現されたことについては、デイヴィッド・ストックデール判事も「非常に悲しく胸が痛むケースだ」と口にした。

「62年間連れ添った被告と妻は、互いに献身的に支え合いながら幸せな結婚生活を送ってきたことだろう。妻の健康状態が悪化しても、被告は自分も高齢であるにもかかわらず、外部の援助を求めることもせずに懸命に介護に尽くしてきた。妻への愛は無条件であったといっていい。しかし、妻は自分がいずれ介護施設に入れられてしまうのではという不安を抱えており、特に容態が悪化してからは、繰り返しそのことを口にしていたようだ。被告は、妻の意思を汲み取るために一人きりで介護に尽くしてきた一方で、やはり老々介護の厳しさにこれ以上耐えることができなかった。妻が失った人生に報いたり、時を戻すことはできない。この判決は全く持って特例となる。」

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