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メキシコ政府、エクアドルとの国交断絶を発表(メキシコ、エクアドル、ニカラグア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月11日 13時0分

メキシコ外務省は4月6日付のプレスリリースで、エクアドル警察がメキシコ大使館に不法侵入したことを受け、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領(AMLO)の指示に従い、エクアドルとの国交を断絶したと発表した。また、同日のプレスリリースで、翌7日にメキシコ大使館の全ての外交官と家族をエクアドルから退避させ、メキシコ大使館は無期限閉鎖することを発表した。

エクアドルとの国交断絶の発表は、4月5日にエクアドル警察がメキシコ大使館に強行突入し、政治亡命手続き中のエクアドルのホルヘ・グラス・エスピネル元副大統領を逮捕・拘束したことに端を発する。ホルヘ・グラス元副大統領には汚職容疑で逮捕状が出ており、メキシコ大使館に亡命手続き中だった。5日にメキシコ政府が申請を許可したことを受けて、エクアドル警察がメキシコ大使館に突入したとされている。

AMLO大統領は同日にX(旧Twitter)で、アリシア・バルセナ外相に対し「これは国際法とメキシコの主権に対する明白な侵害であり、権威主義的な行為に関する声明を発表し、合法的に手続きを進め、直ちにエクアドル政府との国交を断絶することを宣言するよう指示した」と述べた。また、8日の記者会見で、アリシア・バルセナ外相は「メキシコが国際司法裁判所へ告訴する準備をしており、ラテンアメリカ・カリブ共同体(CELAC)の政府高官や国々の支援を要請し、国連の事務総長宛に書簡を送るだろう」と語った。

ニカラグア政府も4月6日にニカラグア連邦官報で、2020年9月には既に大使館を閉鎖していたが、メキシコに続きエクアドルとの国交を断絶すると発表した。

エクアドルの太平洋同盟加盟が白紙に

メキシコとコロンビア、チリ、ペルーで構成する太平洋同盟に、エクアドルは正式加盟を申請している。太平洋同盟に正式加盟するには、全ての加盟国との間で自由貿易協定(FTA)を締結する必要があるが、エクアドルはメキシコとの間でFTAを締結していない。メキシコとエクアドルは2020年2月からFTA交渉を開始し、2022年5月までに9回の交渉会合を持ち、合意は目前とされていた。しかし、メキシコ側がエビとバナナの関税撤廃で譲歩できなかったことや、2022年10月のルス・マリア・デ・ラ・モラ通商交渉担当次官の辞職(2022年10月17日記事参照)に伴い、メキシコ側の通商交渉のエキスパートの多くが辞職してしまったことなどが影響し、2022年秋以降、交渉は頓挫していた。さらに、今回のメキシコとの国交断絶により、太平洋同盟加盟への道が当面閉ざされることになる。

(阿部眞弘)

(メキシコ、エクアドル、ニカラグア)

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