ハリス米副大統領がグアテマラ大統領と会談、難民流入への対処であらためて合意(米国、グアテマラ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月29日 1時10分
米国のカマラ・ハリス副大統領は3月25日、グアテマラのベルナルド・アレバロ大統領とホワイトハウスで会談し、バイデン・ハリス政権の「根本原因戦略(Root Causes Strategy)」の下で、同国を含む中米北部から米国への不定期な難民流入に対して、緊急的に対処する必要性について合意した。
バイデン政権が同日に発表したファクトシートによると、「根本原因戦略」は、難民が米国に流入する要因に取り組み、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスの国内状況を改善し、同国に住む人が故郷を離れざるを得ないと感じないようにする。具体的には、ハリス副大統領が主導する5つの枠組み〔(1)経済的不安と不平等への対処、(2)不正との闘いと民主主義的統治の強化、(3)人権と労働権の促進、(4)暴力への対処と防止、(5)性的、性別に基づく暴力との闘い〕で、経済、行政、安全保障の課題に取り組んでいる。
会談でハリス副大統領は、「根本原因戦略」はグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスで短期間で成果を上げたとし、具体的には「これまで6万3,000人の農民の生産と所得向上を支援し、初等・中等教育を通じて300万人近い青少年に手を差し伸べ、1万8,000人以上の警察官と2万7,000人近くの人々を訓練して、司法制度を強化してきた。また、地域全体で何千人もの労働者と人権活動家を支援してきた」と発言した。
会談ではまた、2021年5月のハリス副大統領の呼びかけに応えて、中南米からの難民の根本原因に対処する目的でこの地域の長期的な発展を支援するために設立され、民間企業から52億ドル以上の出資を集めた「セントラル・アメリカ・フォワード」を通じた取り組みについても議論した。ハリス副大統領は、セントラル・アメリカ・フォワードには金融、繊維、アパレル、農業、テクノロジー、電気通信など50社以上の企業が参加したとし、この取り組みは「これまでに地域全体で7万人の新規雇用を創出し、100万人以上に技能訓練を提供した。250万人以上を正式な金融経済に導き、450万人以上をインターネットに接続可能にした」と、その成果を述べた。
アレバロ大統領は「多くのグアテマラ国民と同様に、米国や国際社会でわれわれを支持する者たちが、今後数年間でグアテマラが達成できることに大きな期待を寄せていることを認識している。わが政府はこうした期待に応え、短期、中期、長期にわたって結果を出すために全力を尽くすことを約束する」と発言した。
そのほか、会談前のバイデン政権の発表では、ハリス副大統領とアレバロ大統領は、良質な雇用の創出、適切な行政管理、グアテマラ人が自らの地域社会に投資する機会の創出など、難民の要因に対処するためにバイデン政権が行ってきた進展について評価すると述べていた。また、グアテマラの人々に対する米国の支援を示すため、ハリス副大統領は、開発、経済、保健、安全保障の分野に対して、米国から1億7,000万ドルを追加提供することを発表するとしていた。
(吉田奈津絵)
(米国、グアテマラ)
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