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初のイタリア・アフリカサミットをローマで開催(イタリア、欧州、アフリカ、アルジェリア、リビア、チュニジア)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月8日 0時15分

初のイタリア・アフリカ首脳会議(サミット)が1月29日、ローマで開催された。アフリカ諸国からは23人の首脳および閣僚、また33の代表団が参加し、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長らEU代表やアザリ・アスマニ・アフリカ連合総会議長(コモロ大統領、2024年2月1日記事参照)を含む国際機関および融資機関の代表29人も参加した。2024年のG7議長国であるイタリアは、アフリカの開発を中心議題の1つに据えており、今回のサミットはその前哨戦ともいえる。

イタリアのジョルジャ・メロー首相は開会演説で、アフリカの開発支援4カ年計画「マテイ計画」を発表し、アフリカとの平等な関係づくりを強調するとともに、主要優先分野として教育・職業訓練、健康、 農業、水資源、そしてエネルギーの5分野を挙げ、アフリカ数カ国における具体的な「パイロット計画」の実施を発表した。

また、イタリアが、アフリカで生産されるエネルギーの欧州への供給ハブとなることを目標に掲げるとともに、近年増加するアフリカからの不法移民問題に関しては、不法移民の仲介者の厳格な取り締まりと合法移民への機会の提供の2本立てで対処する方向性を示した。

イタリアのアフリカ政策の要となるエネルギー問題と移民問題解決には、欧州に近い北アフリカ諸国との関係強化が鍵になる。このため、メローニ首相は2022年10月の就任以来、同地域での積極外交を進めてきた。

2023年1月22~23日には、首相就任後初の2カ国間外交としてアルジェリアを訪問した。アルデルマジッド・テブン大統領との会談では、欧州が重大なエネルギー危機に直面する中、アルジェリアの主要エネルギー生産国としての重要性と、欧州へのエネルギー供給の玄関口としてのイタリアの役割を確認するとともに、両国間で天然ガスの新たなパイプライン建設に向けた合意書を締結した。

同年1月28日には、リビアのトリポリでアブドゥルハミド・アル・ダバイバ首相と会談し、イタリアの石油・ガス大手ENIとリビア国営石油公社(NOC)との間で80億ドルのガス供給契約が締結されている。

一方、アフリカからの移民問題については、メローニ首相は2023年6月以降チュニジアのカイス・サイード大統領と3回にわたり会談し、移民問題での協力とチュニジア財政の安定化策を盛り込んだチュニジア・EU間の戦略的パートナーシップにおいて中心的役割を担っている(2023年7月20日記事参照)。

今回発表された「マテイ計画」では、対アフリカ融資、補助など合計55億ユーロ以上の初期予算が見込まれており、そのうち約30億ユーロはイタリア気候変動基金から、約25億ユーロは開発協力基金から割り当てられるとしている。

フォン・デア・ライエン委員長はサミットの場で、マテイ計画が「欧州グローバル・ゲートウェイ計画」に完全に適合するものとし、アフリカ関係の1つのモデルとしてメローニ首相を支持している。一方、アフリカ連合委員会のムサ・ファキ・マハマト委員長は、会議冒頭の演説で「(計画の性質について)事前の相談が望ましかった」と述べ、イタリアとアフリカ側の意思疎通の改善を提起した。

(渡辺智子)

(イタリア、欧州、アフリカ、アルジェリア、リビア、チュニジア)

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