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ポルトガル総選挙で極右が躍進、2大政党の存在感低下(ポルトガル)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月15日 11時40分

添付資料PDFファイル(102 KB)

ポルトガルで3月10日、議会選挙(一院制・230議席)が実施された。今回は、単独過半数で安定した政権運営を行っていた中道左派・社会党(PS)のアントニオ・コスタ首相が、2023年11月にリチウム開発や水素プロジェクトを巡る汚職疑惑により辞任したことを受けた解散総選挙(2023年11月16日記事参照)となる。

今回の選挙は国民の関心の高さを反映し、投票率が66.2%と前回(2022年1月)から8.3ポイント伸びた。中道右派の最大野党・社会民主党(PSD)とその他の右派保守政党との選挙連合である民主同盟(AD)は、得票率29.5%(79議席)で与党PS(28.6%、77議席)に僅差で勝利した。PSは議席を3分の1以上減らし、右左の2大勢力のいずれも過半数を獲得できなかった。一方、最大の躍進を遂げたのは、極右のシェーガ党(CHEGA)で、12議席から48議席へと大きく議席を増やした(添付資料表参照)。

右派政権が勝利宣言

各種報道によると、ADは極右・シェーガと連立すれば議会過半数となるが、同連合を率いる首相候補であるPSDのルイス・モンテネグロ党首は、現時点ではシェーガとは連立せず、少数与党政権を組織する意向を示している。しかし、今後の政権運営では議会でキャスティングボートを握るシェーガに大きく依存することは避けられないとみられる。

首相選出と組閣は、在外投票(4議席)の結果が確定する3月20日から3月末にかけて行われる見通しだ。2024年予算法は2023年11月末に可決済みだが、新政権下で2025年予算法が成立しなければ、2022年の前回総選挙時(2022年1月)と同様(2021年11月11日記事参照)、大統領の権限で解散総選挙となる可能性もある。

米国格付け会社モーニングスターDBRSは「ADは政権運営において重大な障害に直面する可能性があり、議会の分断と政権不安定により、復興・再建計画(Plano de Recuperação e Resiliência:PRR)の実施が妨げられる可能性がある」と指摘している。そして、「新政府が重要法案を成立させられない場合、2024年末か2025年初めに再選挙が行われる可能性が高まる」リスクについても言及した。こうした懸念に対し、欧州委員会のパオロ・ジェンティローニ委員(経済担当)は「ポルトガル経済は非常に好調であり、組閣は困難を伴うものの、引き続き安定した状況が継続することを期待する」と発言した(「Jornal de Negocios」紙3月11日)。

(小野恵美)

(ポルトガル)

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