1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 国際
  4. 国際総合

3月の米消費者物価指数、上昇率の伸び加速、利下げの後ずれ可能性高まる(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月11日 16時15分

添付資料PDFファイル(300 KB)

米国労働省が4月10日に発表した3月の消費者物価指数(CPI)の上昇率は前年同月比3.5%と、先月の3.2%上昇から2カ月連続で伸び率が上昇した。変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は前月と変わらず、同3.8%上昇だった。前月比では、CPIは0.4%上昇(前月0.4%上昇)、コア指数は0.4%上昇(前月0.4%上昇)だった。市場予測では、CPIが前年同月比3.4%上昇、前月比0.3%上昇、コア指数が前年同月比3.7%上昇、前月比0.3%上昇で、総じて市場予想を上回る伸びとなった(添付資料図1、表参照)。

品目別に前年同月比で見ると、エネルギーは2.1%上昇(前月1.9%下落)と上昇に転じた。3月のCPIの上昇幅拡大は、このセクターが上昇に転じたことが最も大きく寄与している。このうちガソリンは1.3%上昇(前月3.9%下落)だった。食料品は、2.2%上昇(前月2.2%上昇)と変わらなかったが、外食は4.2%上昇(前月4.5%上昇)と伸びが鈍化した。エネルギーと食料品を除いた財は0.7%下落(前月0.3%下落)と下落幅が拡大した。内訳では、中古車が2.2%減(前月1.8%下落)、新車が0.1%下落(前月0.4%上昇)となったが、衣料品は0.4%上昇(前月0.0%上昇)だった。

サービスは5.4%上昇(前月5.2%上昇)と上昇幅が再び拡大した。物価のうち3割のウエートを占める住居費は、前年同月比5.7%上昇(前月5.7%上昇)と前月と変わらなかった。内訳では、帰属家賃(注1)が5.9%上昇(前月6.0%上昇)、賃料は5.7%上昇(前月5.8%上昇)とわずかに低下したものの、テナント保険の上昇により相殺された。このセクターは一般的に住宅価格の動きを18カ月程度遅行して推移するとされていることから、上昇率の低下が期待されているセクターだが、その歩みは速いとは言えない状況だ。瞬間風速を示す前月比で見た場合でも、同セクターは0.4%上昇と、引き続き伸びが続いており、このセクターのインフレの低下速度にやや疑問を投げかける内容となっている(添付資料表参照)。

住居費を除くサービス価格は前年同月比4.8%上昇(前月3.9%上昇)と、3カ月連続で上昇幅が拡大した。レクリエーションサービスなど、賃金上昇率の影響を受けやすい労働集約的なセクターでの上昇幅が低下した一方、医療サービスが2.1%上昇(前月1.1%上昇)、自動車保険などの上昇幅拡大を受けて、輸送サービスが 10.7%上昇(前月9.9%上昇)しており、3月はこうした賃金以外の要因が上昇率の拡大に大きく寄与したかたちだ(添付資料図2参照)。

今回の結果を受け、市場関係者は連邦準備制度理事会(FRB)による6月利下げ開始期待を大きく後退させたもようだ。ブルームバーグ・エコノミクスのアンナ・ウォン氏らは「FRBは今回のレポートから、ディスインフレ(注2)の勢いが鈍化しているという強いシグナルを受けとめる可能性が高い。われわれは最初の利下げ予想をこれまでのベースラインの6月から7月に後ろ倒しにするつもりだ」と述べているほか、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の調査 では、6月の利下げ開始を想定する者が同指標公表前の56.1%から17.8%(日本時間4月11日午前11時30分時点)にまで大きく低下している。3月の雇用統計の結果(2024年4月8日記事参照)とあわせ、利下げ開始時期が後ずれする可能性が高まっている。

(注1)自己が所有する住宅(持ち家住宅)に居住した場合、家賃の支払いは発生しないものの、通常の借家や借間と同様のサービスが生産され、消費されるものと仮定して、それを一般の市場価格で評価したもの。

(注2)インフレーションを脱したが、デフレーションには至っていない状態。

(加藤翔一)

(米国)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください