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政府が2024年成長見通し3%を維持、財政赤字は拡大(メキシコ)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月3日 1時45分

添付資料PDFファイル(204 KB)

メキシコの大蔵公債省は3月27日、2025年度予算の前提となる経済政策一般基準(CGPE 2025)策定に向けた中間報告を提出した。この中で2024年の実質GDP成長率見通しについては、従来(2023年9月8日時点での見通し)の3.0%、2025年についても2.5%を維持した(添付資料表1参照)。大蔵公債省は同日付プレスリリースで、「2024~2025年は引き続き堅固な内需が牽引するかたちで成長が持続し、労働市場の活性化、消費の多様化などに反映されるだろう」「官民双方のより大きな水準の投資がみられ、非住宅分野のインフラの開発に向けられるだろう」とし、消費や投資など内需主導で経済成長が持続することを想定している。

財政収支に関しては、2024年もおおむね政府目標を達成するとしながらも、財政総合収支の赤字(狭義の財政赤字)は同4.9%から5.0%に拡大する。歳入は原油価格上昇に伴う石油収入の増加(GDPの0.3%)や税収の増加(GDPの0.2%)などが奏功し、GDPの0.6%分増えるとみているが、歳出もGDPの0.7%拡大するため、財政収支は悪化する(添付資料表2参照)。債務返済分を除いた財政基礎収支でみても、赤字幅はGDPの1.2%から1.4%に拡大する。2024年末時点の広義の債務残高(SHRFSP)の対GDP比は、2024年予算案策定時の48.8%から50.2%へ拡大する。

財政の持続可能性を懸念する声も

2024年の財政赤字は1988年以来の大幅な水準となる見通しだが、大蔵公債省は2025年の総合収支赤字をGDPの2.5%、プライマリー収支は0.9%の黒字に回復するとみている。同見通しについては、楽観的すぎるとの見方が強い。アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領が2月5日に国会に提出した憲法改正を含む20の改正案は、現政権下で進めてきた総合福祉政策に基づく補助金や奨学金を憲法で保障する内容が含まれている。これが実現した場合、2024年10月に発足する次期政権では、独自の歳出政策を選択する自由度が失われ、膨れ上がった所得分配政策の継続と重い財政負担を今後も余儀なくされる(2024年2月7日記事参照)。また、3月1日から開始された大統領選挙戦では、貧困層の支持獲得を視野に入れて、野党候補でも社会福祉政策の継続を主張しているため、憲法改正の実現にかかわらず、次期政権でも福祉政策の財政負担が軽減される見通しはない。財政収支均衡を保つには、インフォーマル就労対策も含めた抜本的な税制改革が不可欠だが、野党候補も含め、大統領候補からの具体的な提案はほとんどない。

大蔵公債省のデータによると、2024年1~2月の連邦政府の補助金支出は、6月2日の総選挙を視野に入れたばらまきの拡大により、社会開発分野を中心に実質2.4倍と過去に例を見ない伸びを見せており、財政の持続可能性を懸念する識者は多い。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

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