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米主要港、2月の小売業者向け輸入コンテナ量は前月比0.3%減も、5月には200万TEU超の見通し(米国)

ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月11日 16時0分

添付資料PDFファイル(226 KB)

全米小売業協会(NRF)と物流コンサルタント会社ハケット・アソシエイツが発表した「グローバル・ポート・トラッカー報告」(4月9日)によると、2月の米国小売業者向けの主要輸入港(注)の輸入コンテナ量は前月比0.3%減、前年同月比26.4%増の196万TEU(1TEUは20フィートコンテナ換算、添付資料図参照)となり、NRFが3月時点で予測した190万TEU(2024年3月13日記事参照)を上回った。前年同月比が比較的大きな伸びとなっているのは、前年の同時期にアジア各国の旧正月の影響を受けて輸入コンテナ量が減っていたことの反動とみられる。

NRFは今後の見通しについて、3月は旧正月の影響で前月比では7.8%減の180万TEUとしたが、前年同月比では11%増と見込んでいる。また、4月以降も前年同月比ベースではプラスの伸びが続き、4月は8.4%増の193万TEU、5月は5.5%増の204万TEUと、2023年10月(206万TEU)以来の高水準に達することが予想される。その後、6月は8.9%増の200万TEU、7月は6.6%増の204万TEU、8月は6.9%増の209万TEUとしている。

今回の発表の中で、NRFのサプライチェーン・税関担当バイスプレジデントのジョナサン・ゴールド氏は、米国東部メリーランド州ボルティモア市で3月26日未明に発生した港湾事故(2024年3月28日記事参照)について、「小売業者はパナマ運河と紅海の利用に係る制約に適応してきたが、われわれは今、ボルティモア港の船舶運航停止に直面している。フランシス・スコット・キー橋の悲劇的な崩落は、全国的な影響はないと思われるが、あらゆる企業のサプライチェーンに柔軟性と強靭(きょうじん)性が常に必要なことを示している。影響を受けた小売業者は貨物が必要な場所に届くことを確実にするために輸送計画を調整しており、われわれも状況を注視している」とコメントしている。

サプライチェーンの輸送情報の可視化プラットフォームを提供するプロジェクト44によると、ボルティモア港に向かう予定だったコンテナは、ノーフォーク港(43%)、ニューヨーク港(26%)、ウィルミントン港(13%)、ニューアーク・エリザベス港(10%)などの港に迂回している(NBCニュース4月4日)。

この事故を巡る経済的な影響を最小化するべく、米政府機関は連邦・州双方のレベルで取り組みを進めている。連邦レベルでは、ジョー・バイデン大統領が4月5日に事故現場を訪れ、ホワイトハウスが港湾の再開、橋の再建、港湾労働者や企業の支援などの取り組みを発表している(2024年4月9日記事参照)。州レベルでは、メリーランド州のウェス・ムーア知事(民主党)が4月9日、「メリーランド州機会・地域貿易保護法(Maryland Protecting Opportunities and Regional Trade Act: PORT法)」に署名した。同法案(HB1526)は、ボルティモア港閉鎖の影響を受ける特定の個人や企業向けの一時的な救済プログラムを設けることを定めたものだ。これにより、ムーア知事は必要な資金を州の歳入安定化勘定から繰り入れることができるようになった。拠出の規模は23億ドルが想定されている。

(注)主要輸入港は、米国西海岸のロサンゼルス/ロングビーチ、オークランド、シアトル、タコマ、東海岸のニューヨーク/ニュージャージー、バージニア、チャールストン、サバンナ、エバーグレーズ、マイアミ、ジャクソンビル、メキシコ湾岸のヒューストンの各港を指す。

(樫葉さくら)

(米国)

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