1月の輸出額は大きく伸長も、米国やドイツ向けは依然低迷(バングラデシュ)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年2月13日 15時25分
バングラデシュ輸出振興庁(EPB)が2月に発表した輸出統計によると、2024年1月単月の輸出額は57億2,434万ドルで、2023/2024年度(2023年7月~2024年6月)における最高額を更新し、前月比7.8%増、前年同月比では11.5%増を記録した。同年度の輸出額は10月以降、主力の衣料品を中心に前年同月比ではマイナスに転じ、特に布帛(ふはく)類(HSコード第62類)が低調だったところ、布帛類は前年同月比7.2%増に回復し、ニット類(HSコード第61類)も同17.3%増まで伸長したことが奏功した。同年度の総計は332億6,471万ドルで、過去最高額を記録した前年度同期から2.5%増となっている(添付資料表1参照)。
国別輸出統計は主要品目別統計から遅れて発表され、2023/2024年度の同統計は12月まで公開されている。日本向け輸出は前年同期比4.3%増の約9億4,900万ドル(輸出額全体の3.4%)で、主要国別では英国(12.5%増)、オランダ(5.8%増)、スペイン(5.7%増)に次いで高い伸び率となった。一方、バングラデシュの最大輸出相手国の米国向け(8.8%減)は前年比で減少傾向が続いており、2番目の輸出相手国のドイツ向け(17.5%減)の減少幅は広がっている(添付資料表2参照)。
当地で著名な民間シンクタンク、ポリシー・エクスチェンジ(Policy Exchange of Bangladesh)の創設者兼会長で、世界銀行グループのシニアエコノミストなどを歴任したマスルール・リアズ氏は輸出の現状と見通しについて、「単月の推移以上に年度ベースの比較が重要で、今年度(2023年7月~2024年1月)は昨年度同期比では大きく伸びておらず、楽観視はしていない。背景としては米国向け輸出の低迷と、外貨流出防止を目的として継続される輸入抑制措置(2022年7月19日記事参照)によるサプライチェーンへの負の影響の大きく2点が挙げられる。前者に関しては、先般の総選挙(2024年1月9日記事参照)に関連して米国によるバングラデシュへの貿易規制措置などは現状ないため、推測の域を出ないものの、貿易に影響し得る両国間の政治的な背景の有無についても、引き続き注視している。また後者は、特に衣料品産業以外の製造業において輸入抑制の影響が大きく、生産に欠かせない輸入原材料の調達不足は大きな課題だといえる。輸出額全体は堅調に推移しているものの、今年度の輸出額目標(620億ドル)の達成は容易ではないだろう」と分析する(インタビュー:2024年2月8日)。
(山田和則)
(バングラデシュ)
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