欧州委の研究機関、世界のバイオ技術の特許取得状況を分析(EU、世界)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年3月28日 1時55分
欧州委員会の共同研究センター(JRC)は3月20日、世界のバイオ技術に関する特許の取得状況を分析した報告書を発表した(プレスリリース)。報告書は、同日に欧州委が発表したEU域内のバイオ産業強化策に関する政策文書(2024年3月25日記事参照)の基礎資料となっている。
2001~2020年に世界で出願された特許の平均件数(注1)を分析した結果、全体に占めるバイオ技術の割合は約5%だった。バイオ技術のうち96%以上が産業や、ヘルスケア・製薬用途に関連するものだった。
2020年のバイオ技術特許の取得を国別に見ると、米国が最も多く、全体の39%を占め、次いでEU(18%)、中国(10%)となった。
バイオ技術特許の内訳をカテゴリー別にみると、「C12Nカテゴリー」(注2)が約23.1%を占めた。同カテゴリーは、新たな菌株や改良された菌株の使用の可能性を意味する。発酵は通常パンやヨーグルト、ビールなどの食品や飲料に使用されるが、微生物を利用した精密発酵は、生産工程や生産の管理がしやすく新たな可能性が期待されている。
次に、検出と診断に関する「C12Qカテゴリー」が約12.9%を占めた。微生物の存在や種類の判定、抗生物質や殺バクテリア剤を検査するための媒体を特定する。3番目に多いカテゴリーはヘルスケア・製薬分野(A61K 38/00カテゴリー)で、11.9%を占めた。
バイオ技術特許の出願内容を国別にみると、日本と中国は産業分野の出願が比較的高く、英国と米国はヘルスケア・製薬分野が多かった。EUとしての専門性は見られなかったが、加盟国レベルでは、ドイツとデンマークは産業分野、フランスとイタリアはヘルスケア・製薬分野、オランダは農業分野に特化していた。出願数では、ドイツとフランスが域内で最も多く、2カ国で全体の半分以上を占めた。
他方、バイオ技術の特許が取得されているカテゴリーは各国・地域で傾向が似ており、米国、EU、中国、英国の上位3位は同じカテゴリーだった。このことから、バイオ技術の特許取得の競争は主要領域を中心に展開されていると分析した。
(注1)特許は出願人の地域に割り当てられる。
(注2)世界知的所有権機関(WIPO)の区分に基づく。
(大中登紀子)
(EU、世界)
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