欧州テクノロジー業界、エコデザイン規則案について他規制との重複回避の必要性を指摘(EU)
ジェトロ・ビジネス短信 / 2024年4月4日 0時55分
欧州機械・電気・電子・金属加工産業連盟(ORGALIM)は3月21日、EUのエコデザイン規則案(2023年12月11日記事参照)および「デジタル製品パスポート(DPP)」に関するセミナーを開催し、政策提言を発表した(プレスリリース)。
ORGALIMはエコデザイン規則案について、製品や資源の循環性を高め、環境対策と経済成長を両立させると評価。DPPに集積されるデータは分散型で、企業の機密情報が守られ、相互運用可能で、技術中立の原則に基づき行われることを支持。一方で、次の懸念点を挙げた。
産業界の対応コストが高くなり、競争力を下げる可能性:特に第三者認証に関しては、既に認証機関も不足していることから、製品に伴うリスクの性質などを考慮して必要な場合のみに実施し、グリーン・ウォッシング(2024年2月21日記事参照)ではないことを立証するためのみには利用すべきでない。
規制の重複:エコデザイン規則案は、中間製品も対象としている。特に化学品は本規則のほかにREACH規則や廃棄物枠組み指令などさまざまな規制の対象となっているため、本規則では循環性や持続可能性の要件のみを定めるべき。鉄鋼やアルミニウムなどの中間製品もEU排出量取引制度(EU ETS)や炭素国境調整メカニズム(CBAM)などの既存の規制があり、エコデザイン規則案で定められる要件について、バリューチェーンを構成する異なる事業者の意見を聞き、DPPに求める情報を整理すべき。住宅用ヒーターなどの製品は、建設資材規則の改正案(2023年12月28日記事参照)では建設資材として定められていると同時に、エコデザイン規則案の対象にもなる。今後、欧州委員会で定められる委任規則で重複のないよう調整すべき。
ORGALIMは、循環性と経済成長を追求するには、まずは小規模に開始し、エコデザイン規則案の要件やDPPが実際に機能することを実証した上で、拡大していくべきとした。
(薮中愛子)
(EU)
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