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共働きが与える子どもへの影響

JIJICO / 2015年10月19日 19時0分

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共働きが与える子どもへの影響

親の勝手な思い込みが健全な人格形成に支障をきたす

かつての日本では「母親が日中働いて家を空ける(留守にする)ことは、子どもにとって望ましくない」と言われる傾向がありました。しかし、男女共同参画白書によると、1991年から1995年を境目とし、現在では共働きの家庭が専業主婦の家庭を上回るようになりました。果たして、母親の就労が子どもにどのような影響をもたらすのか。よく「母親が働いていて、子どもがかわいそう」という声を聞きますが、メリットとデメリットの克服を考えてみましょう。

米国人、ドロシー・L・ノルテの言葉で「子どもは憐れみを受けて育つと、自分を可哀想だと思うようになる」というものがあります。母親が働いていることで「かわいそうな子ども」と決めつけることは、子ども自身も「自分はかわいそうな存在なんだ」と思い込んでしまう危険性があります。周囲の大人たちの目もそうです。これは、子どもの自己否定感につながり、健全な人格形成に支障をきたします。

つまり、母親の就労自体が決して悪いわけではなく、肝心なのは母親が仕事をする際の意識です。乳幼児期に大切な「母親との愛着の形成」が妨げられるのではないかという課題はありますが、これは、限られた子どもとの時間をどのように接するかが問題なのです。

子どもの社会性発達には父親との関係が重要

一緒に遊んだり、相互作用しようとする母親の姿勢が、「もっと一緒にいたい」という子どもの欲求を満たすことになります。また、幼児期や児童期において、両親が家にいないことで情緒面の寂しさを抱え、「基本的しつけ」や「行動の管理」ができないのではないか、という意見も聞かれます。これも、両親が家庭内のコミュニケーションを第一優先とし、帰宅後の時間をできるだけ子どもとの「触れ合い」に費やし、家事は子どもが寝てから行うなどの工夫で、足りない部分を補う姿勢があれば問題ありません。

さらに、子どもの社会性(仲間関係の発展)を育むには、特に父親との関係が重要です。マクドナルドとパークという研究者の調査によれば、父親との身体的な遊びを多く経験している子どもほど、保育園へ問題なく適応できるという結果が出ました。父親との遊びや触れ合いは、母親のそれよりアクションが大きく、刺激が強いので、子どもにとってより楽しい経験ができるそうです。家庭での楽しい経験や関わり合いのある安心感が、子どもの社会性発達に好影響を与えるのです。

こうして考えてみれば、共働きの家庭でも母親だけでなく父親が「イクメン」を積極的に実践することが、子どもにとって好影響を与えることになるわけです。それには、政府も企業もイクメンを後押しするような政策や理解が必要です。現在は男性の育児参加を促す政策も起業も整っておらず、今後の最重要課題であるといえます。

(きくち みよこ/心理カウンセラー)

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