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代理出産、日本で認められないのはなぜ?法整備の課題とは

JIJICO / 2018年2月18日 7時30分

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代理出産、日本で認められないのはなぜ?法整備の課題とは

日本人の海外での代理出産のニュースが話題に

映画コメンテーターの有村昆さんの妻である元日本テレビアナウンサー丸岡いずみさんが、自らの凍結保存した受精卵をロシアの代理母に提供し代理出産により第一子を授かったことを報告しました。2度の流産と不妊治療を経ての決断だったようです。

代理出産については法規定がないため、様々な定義が乱立していますが、生まれた子を引き取り、自分の子として養育する目的で第三者の女性に妊娠し出産してもらうこと、という説明がわかりやすいでしょう。

代理出産とは?日本では法整備はまだ整っていない状況

代理出産の具体的方法としては、今回のように夫婦の受精卵を代理母の子宮に注入したり、代理母に直接夫の精子を人工授精する形などがあります。

代理出産などの生殖補助医療については、日本では法整備がなされていません。2014年に自民党のプロジェクトチームが代理出産などに関する法案をまとめ、今国会に提出する動きを見せたことがありましたが、現状法案提出には至っていません。

宗教・倫理上の問題や子の福祉、親子関係など多岐にわたる問題がある

生殖補助医療は、宗教上や倫理的な問題点、妊娠・出産の身体的リスクのほか、生まれてくる子の福祉の問題、親子関係(誰を母にするのかなど)の問題、さらには代理母が生んだ子を夫婦に引き渡さなかったり、逆に夫婦が子を代理母から引き取らないトラブルなど、様々な問題を抱えています。

ちなみに、日本産科婦人科学会は、「卵子提供」は法整備がなされない限り認めない、「代理出産」については原則として禁止すべきとの立場を表明しています。

犯罪にはならないが「母親は誰なのか」という問題が常にある

前述のとおり、日本では生殖補助医療に関する法律はなく、関連団体がガイドラインなどを定めるにとどまっています。

したがって、日本で卵子提供や代理出産を行っても、罪に問われることはありません。このため、これらの生殖補助医療の実施を公言している医療機関もあります。

法整備がなされていなくても問題が顕在化するのは、生まれた子どもの母親が誰かという問題です。

民法もこの点を明記していませんので、プロレスラーの高田延彦さんと女優の向井亜紀さんが、代理出産によって生まれた子どもが夫婦の嫡出子だとして提訴したことがありました。

東京高裁は嫡出子として認める判断をしましたが、最高裁は、子を懐胎し出産していない女性との間には母子関係は成立しないとして訴えを退けました。高田さんご夫婦は、結局、子どもと特別養子縁組をされたようです。

外国では法整備が進んでいるなか、日本は法整備が喫緊の課題

しかし、多くの国が、禁止にせよ容認にせよ生殖補助医療に関する法整備をする中で、全く法整備のない日本はかなり特異な存在といえます。国民的議論を深めた上で、早急に国として指針を示す必要がある問題といえるでしょう。

(永野 海/弁護士)

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