コロナ後の倦怠感、頭痛…その不調「ある炎症」かも。32歳女性が寝たきり⇒職場復帰するまで
女子SPA! / 2024年4月3日 8時46分
診療室に入って来たNさんは、目に力はなく、眉間にはしわが刻まれ、首はうなだれ、か細い声で、全身から体調不良のオーラが漂っていました。
Nさんはネットなどで調べてEATについてはすでにご存じでしたが、初回治療は鼻からの細い鼻綿棒を用いたEATのみとしました。咽頭捲綿子を用いた口からのEATは患者さんがよりつらいと感じることが多く、この状態のNさんには負担が大きいと考えられたからです。
綿棒には血液がべっとりと付着し、Nさんは痛みのあまり、泣き出しました。気持ちが落ち着くのを待ち、「激しい慢性上咽頭炎があること」「次回からも負担が大きい口からのEATは行わないこと」「EATを続ければ今の症状が改善する可能性が高いこと」を説明した後、Nさんはとぼとぼとした足取りで診療室を出て行きました。
◆1週間後に診療室に入ってきたNさんの様子は…
1週間後に診療室に入って来たNさんの足取りは初診時より軽く、表情にも少し明るさがありました。倦怠感、疲労感は相変わらずでしたが、頭痛と首こりが初回のEATで改善したとのこと。
その後、3か月間にわたって、鼻からのみのEATを毎週繰り返したところ、まずはめまい、立ちくらみ、動悸が消失。疲労感、倦怠感も徐々に改善していき、3か月後には産業医の許可が出て、職場復帰を果たしました。
その頃には初診時の体調不良オーラはすっかり消え、Nさんはすっかり笑顔を取り戻していました。
慢性上咽頭炎は、頭痛、肩こり、アトピー、めまい、掌蹠膿疱症、潰瘍性大腸炎、関節炎、慢性疲労など、様々な不調を引き起こす可能性があります。
対症療法が効かない場合、その不調の「おおもと」は上咽頭にあるかもしれません。慢性上咽頭炎の疑いがある場合は、EATを実施できる医療機関を受診されることをおすすめします。
<文/堀田修 構成/女子SPA!編集部 イラスト/林ユミ>
【堀田修】
1957年、愛知県生まれ。防衛医科大学校卒業、医学博士。「木を見て森も見る医療の実践」を理念に掲げ、2011年に仙台市で医療法人モクシン堀田 修クリニックを開業。特定非営利活動法人日本病巣疾患研究会理事長、IgA腎症・根治治療ネットワーク代表、日本腎臓学会功労会員。2001年、IgA腎症に対し早期の段階で「扁摘パルス」を行えば、根治治療が見込めることを米国医学雑誌に報告。現在は、同治療の普及活動と臨床データの集積を続けるほか、扁桃、上咽頭、歯などの病巣炎症が引き起こすさまざまな疾患の臨床と研究を行う。近年はEAT(上咽頭擦過療法)を使った「新型コロナ後遺症」への取り組みも注目を集めている。『つらい不調が続いたら慢性上咽頭炎を治しなさい』(あさ出版)、『慢性上咽頭炎を治せば不調が消える』(扶桑社)など著書多数
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