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「台所は腐海と化し冷蔵庫の食材は液状化」鬱が悪化し、ゴミ屋敷で最期を迎えた女性。相続した数千万の行方は?

女子SPA! / 2024年4月17日 15時46分

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―連載「沼の話を聞いてみた」―

「カルトは誰も幸せにしない。つくづくそれを、実感しています」

これまで誰にも話せなかった……と重い口を開いてくれたのは、50代の藤井麗華さん(仮名)だ。仏教系の新宗教にどっぷりと沼入りしていたのは、麗華さんの叔母(母の妹)である。

その新宗教は超有名教団ではないが、本部の立派な建造物や全国各地に支部があることから、それなりの規模の教団だろうと推察できる。麗華さんがそれを「カルト教団」と呼ぶ理由は、医療を否定する教えにより、叔母が自死をしたからだ。

鬱を悪化させたが、処方された薬を“毒”と拒否し、長年苦しんだ挙句、叔母は60代で首を吊った。

叔母が信者たちと連れ立ち、霊感商法のような手口で親戚知人を勧誘してまわっていたことも、麗華さんはいまだに腹立たしく思っている。高齢である麗華さんの母は、実家をめちゃくちゃにされたと(詳細は後述)、ずっと嘆きつづけている。

◆弱みにつけ込むのは定番

叔母がカルト教団に入信していることがわかったのは、麗華さんの夫が難病を患い、入院したことがきっかけだった。ある日突然、叔母が訪ねてきた。インターホンを見ると、見知らぬ女性を連れている。

中肉中背の地味な中年だった。グレーのセーターとスラックスという質素な装いで、印象は薄い。「この人誰……?」と不気味に思いながらも付き合いがあるので無下にもできず、とりあえずお茶を出した。

すると、ふたりが話しはじめた。叔母はこう言う。

「麗華ちゃん、ご先祖さまをちゃんと供養している? してないでしょう? だから、こういうことになるのよ……。うちの先生がね、そういうの全部わかっちゃうのよ」

◆たとえ親切心からでも…

阿吽(あうん)の呼吸で、謎の女性が話をつなげる。

「そうそう、ご供養はきちんとしませんと、こういうことが起こるんですよ。いまからでも遅くないから、きちんと仏壇のお世話しましょう?……こういうことはね、ダンナさんだけじゃ終わらないもんなんですわ。連れ合い……もしくは子どもさんにも、いずれ障りが出ることが多いんですよ」

“こういうこと”とは、暗に夫の病気のことである。要は「自分たちの教団に入信しないと、家族全員の健康が危うくなる」という脅しだ。謎の女性は、叔母の布教仲間だった。ちなみに麗華さんに子どもはいないので、「叔母よ、打ち合わせ不足だ」と心の中でツッコんだ。

姪の夫が病魔に侵されたと知り、叔母は絶好のチャンスとばかりに飛んできたように思える。本人たちは「供養しないから病気になった」と心の底から信じ、親切心で助け舟を出しているつもりかもしれないが……。

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