低視聴率『おむすび』はNHK前会長の“若者ねらい路線”の象徴…「定番シーンの省略」で朝ドラ愛好層もガックリ
女子SPA! / 2024年11月14日 8時46分
『連続テレビ小説 おむすび Part1 (1) (NHKドラマ・ガイド)』NHK出版
朝ドラことNHK総合の連続テレビ小説『おむすび』の記録的低視聴率が続いている。
11月7日放送の第29回が終了した時点での世帯視聴率の平均値は13.94%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。前々作『ブギウギ』の同じ第29回までの平均値は同16.0%、前作『虎に翼』は同16.2%だった。
『おむすび』の低視聴率は全国的なこと。特に落ち込んでいる札幌地区は同1日放送の第25回が同10.7%。同じ日の午前8時からテレビ朝日系列の北海道テレビが放送した『羽鳥慎一モーニングショー』は同10.8%なので、わずかながらだが下回ってしまった。国民的ドラマとしては珍事である。
◆朝ドラを観る層=50代以上の女性も男性も『おむすび』離れ
年代別、性別の個人視聴率を見ると、低視聴率を招いている要因が一目で分かる。どの層の個人視聴率もダウンしているが、最も朝ドラを観る50代以上の女性視聴者数が『虎に翼』より2~3割も減っている。2番目に視聴者数が多い男性の50代以上も2~3割少なくなってしまった。
50代以上の女性はおよそ5人に1人以上が朝ドラを観ている。同じく男性は約5~6人に1人が視聴する。そのうち2~3割が消えてしまったのだからダメージは大きい。
F1層と呼ばれる20歳から34歳の女性視聴者はもともと朝ドラをあまり観ていない。100人に1.5人程度。子育てや仕事が忙しいからだ。F2層と呼ばれる34歳から49歳の女性視聴者で朝ドラを観ているのは約5人に1人。
この年代の男性視聴者数は女性の約2~3分の1である。若い層の個人視聴率も『虎に翼』より落ちているが、なんといっても痛いのは50代以上の離脱なのだ。
なぜ、50代以上の多くが離れてしまったのか。テンポの悪さを指摘する声をよく聞く。それも理由の1つに違いない。NHKのドラマ関係者はそれより大きな要因として、「家族の姿、主人公の米田結(橋本環奈)と家族の関係性の描写が薄い」と指摘する。
◆朝ドラが家族を描くわけ
朝ドラは時代設定もテーマも作品によってバラバラだが、序盤で家族1人ひとりの姿、主人公と家族の関係性を詳しく描く点では一致している。『おしん』(1983年度)の時代の前からずっと続くセオリーだ。
そうすると、大半の視聴者が家族との暮らしを経験しているから、親近感を抱かせやすい。『ブギウギ』のように歌劇を描こうが、『虎に翼』のように法律を持ち出そうが、家族の存在によって物語に普遍性が生まれる。観る側の性別や年齢を問わず、家族は共通言語なのである。
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