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テレビ朝日『アメトーーク!』が「行かないほうがいい」と揶揄した西成に行って帰ってきました

TABLO / 2019年4月20日 10時0分

今まさに、インバウンドの街と変化しているのに(写真はイメージ)

テレビ朝日の人気番組『アメトーーク!』での発言を巡り、同局が公式に謝罪を表明する事態になった。4月19日付で、同日には系列の朝日新聞なども謝罪を報じた。かいつまんで経緯を説明したい。

問題となった放送回は2月14日の「高校中退芸人」。このなかで、大阪市西成区に実在する高校の名前をあげたうえ、「椅子と机は繋がっている理由は投げられないようにするため」「窓がガラス素材でないのは、ガラスだと割る人が多いから」等と揶揄、また、西成という“地域”全体を大雑把にくくり「行かないほうがいい地域」とネタにしたのだ。

これに対し3月、府立西成高校と府教育委員会、そして部落解放大阪府民共闘会議からそれぞれ抗議文が届き、結果的にテレビ朝日はホームページ上にて謝罪文を掲載した。

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詳細は当該文を読んでいただきたいが、ざっくりと言えば、西成高校に関しては「内容の確認が足りず事実と異なる」。また西成地区に行かないほうがいいというのは、「差別的な表現」であり、「結果として、西成高校や関係者、また西成地区の住民に多大なる迷惑とご不快の念をおかけしたことをお詫びする」というものだ。

謝罪文を見る限り、ほぼ全面降伏であり、テレビ朝日と『アメトーーク!』制作者の認識の甘さが招いた結果と言ってもいいだろう。

しかし、なぜ、このような事態が起こることを局は予想できなかったのか? その為には、基礎となる西成地区について「認識」と「現実」を振り返ってみる必要がある。

まず、『アメトーーク!』の当該回で言えば、西成地区と大雑把でくくってしまっているところに問題がある。おそらく出演者である芸人の頭にあったのは、ドヤ街のあいりん地区、そして隣接する飛田新地あたりではなかったのか。つまり、かつて西成暴動があったドヤやアンダーグランドの匂い漂う飛田の雰囲気だ。

だが、この認識に関して言えばある程度は間違ってはいないが、いま現在とは大きく乖離もしている。

まず、あいりん地区に関して言えば、かつてのドヤ街は福祉の街となり、さらに空洞化したドヤ(簡易宿泊所)はインバウンドのための廉価な宿に変化した。ここ数年ではさらに進化して、外国人観光客向けのビジネスホテルが建設されている最中だ。また、賛否両論があるが、西成の商店街では中華街構想なるものまで出来している。

もうひとつ、飛田新地について言えば以前と変わらないと言えば変わらず、通常運行ではあるが、それも西成地区のごく一部である。東京台東区のなかに吉原は存在するが、(同区の)浅草や上野まで含めて吉原と混同する人間はおるまい。

さらにいまひとつ、、あいりん地区では区役所や府警がゴミ問題や治安改善に力を入れており、以前よりずいぶんと改善した、と地域住民も評価している。実際問題として筆者は、定期的に西成地区を取材しているし、つい先日も同地を訪れたが、ネットなどで流布している「あいりんでは薬物の売買が公然化」などの噂は、いつの時代の話だよ? というのが正直の感想だ。

もちろん、すべての問題が解決した、というワケではない。また「差別的表現」に敏感な理由もあるにはある。そんななかだけに、『アメトーーク!』のネタはやはり不用意との誹りは免れないだろう。ここで芸人を非難しても仕方がない。彼らは自己認識の範疇でのネタなのだから。やはり、テレビ局員の思い上がり、と言って言い過ぎなら、度を越えた認識の甘さに問題の根っこはある。(取材・文◎鈴木光司)

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