小っちゃ、でも凄いんです! 全長3m前後しかない小さくても魅力的なクルマ5選
くるまのニュース / 2019年5月17日 6時10分
全長が短めに抑えられたクルマは、運転しやすいだけでなく見た目のインパクトも抜群。街で見かけた後、印象に残っているクルマも多いのではないでしょうか。今回は、これまで市販された超小型車5車種をピックアップして紹介します。
■小さいことは良いことだ! 超小型車5つを紹介
「大は小を兼ねる」といわれる分野も多いですが、意外にもクルマの場合は当てはまらないこともあります。人や荷物をあまり積むことができない分、運転のしやすさや燃費の良さなど、多くのメリットを享受することができるのです。
とくに全長が3メートル前後に抑えられた超小型車は、そのメリットが色濃くあらわれます。今回はこれまで市販されてきた超小型車から5車種をピックアップして紹介します。
●メルセデス・ベンツ「スマート」
「スマート」は、メルセデス・ベンツの超小型車です。ラインナップには、2ドア・2人乗りの「フォーツー」と、ルーフを開閉できる「カブリオ」、そして4ドア・4人乗りの「フォーフォー」が存在します。フォーツーの全長はわずか2785mm(ブラバススポーツ)と、非常にコンパクトです。
スマートは、初代モデルが1998年にヨーロッパで販売開始され、2000年に日本へ上陸しました。
もともとは、カジュアル腕時計で知られる「スウォッチ」とのコラボレーション企画というルーツのクルマであるため、小さいだけでなくデザイン性やファッション性が高いことが特長です(現在はメルセデス・ベンツの独自ブランド)。現在販売されているモデルは3代目にあたります。
過去にはより多くのバリエーションがあり、カブリオをベースにドアやフロントガラスを取り去った「クロスブレード」(限定25台)や、ライトウェイトスポーツカーの「ロードスター」と「ロードスタークーペ」、そしてディズニーとコラボした「ミッキー ザ・トゥルー・オリジナル」などが登場。先進性・話題性の高いブランドでもありました。
メルセデス・ベンツは、今後スマートを電気自動車専用のブランドにすることを明らかにしており、ガソリンモデルは2019年で生産終了となります。
●トヨタ「IQ」
トヨタ「IQ」は、2008年から2016年まで販売されていた4人乗りの超小型車です。全長は2985mm(100G)と、4座分のシートを備えているにもかかわらず、3メートルを切っています。
後部座席を設けることを可能とした秘訣は、変速機やステアリング関連の部品、さらにエアコンユニットにいたるまでさまざまな機構の容積を小型化・最適化したことです。これにより、助手席を運転席より少し前にスライドさせることが可能となり、後席左側の乗員のスペースを確保することに成功。
さすがに運転席の後ろはやや狭めとなっているものの、大人3人&子供1人であれば快適に移動できる室内空間を実現しました。
このクルマもバリエーションが豊富で、初期ラインナップの1リッターエンジン仕様のほかにも1.3リッターエンジン仕様や、これをベースに走りの性能を磨いた「ガズーレーシング チューンド バイ MN」、後部座席をあえて外してシンプルに使えるようにした「2シーター」などが登場しました。
■あえて規格いっぱいにしないことで価値が生まれた軽自動車たち
●ダイハツ ミゼットII
ダイハツ「ミゼットII」は、1996年から2001年まで販売されていた軽トラックです。
ダイハツ ミゼットII
軽自動車ということで「小さいボディになるのは必然」と思う人もいるかもしれませんが、ミゼットはほかの軽自動車よりもさらに小さい設計。発売当時の軽自動車規格(3300mm)より50センチも短い2790mm(Dタイプ)というサイズで登場しました。全幅も1295mmと、当時の規格値(1400mm)より狭めです。
このクルマのモチーフとなったのは、1950年代から1960年代にかけて日本のモータリゼーションの発展を支えた軽三輪自動車「ミゼット」。小さく手頃な値段で人気を博したこのクルマの精神を復活させたモデルとして誕生しました。
登場当時のラインナップはMT・1人乗り仕様のみというミニマムさです。内装の写真を見ると運転席のすぐ横にシフトノブが設けられていることから、助手席の設置が困難なほどの室内だったことがうかがえます。後にAT・2人乗りの仕様も追加されました。
また、決して趣味性は高くない軽トラックであったにもかかわらず、なぜか手作りで生産されていたことも特徴のひとつです。
●スズキ「ツイン」
スズキ「ツイン」も、規格のサイズより大幅に小さく設計されたクルマのひとつです。スマートと同じくシティコミューターとしての使い方の似合うモデルでした。
丸いヘッドライトが特徴的なボディの全長は、なんと2735mm。現在適応されている軽自動車規格(3400mm)と比べるまでもない短さです。これにより最小回転半径は3.6メートルと、軽自動車で求められる圧倒的な取りまわしの良さを実現しました。
環境性能も高く、市販軽4輪車初のハイブリッドシステム搭載仕様が設定されたことにより、ハイブリッド仕様は10・15モード燃費34km/Lを記録しています(ハイブリッドA)。
販売期間は2003年から2005年までと短命でしたが、かなり先進的な軽自動車だったといえます。
●スバル「R1」
小型でありながらプレミアム性を追求する、という提案をしていたのがスバル「R1」です。2004年から2010年まで販売されていたこのクルマもまた、軽自動車の枠にとらわれないモデルでした。
全長は3285mmと軽自動車規格の3400mmいっぱいまで拡大されず、ボディのシルエットは卵型のデザインとなっています。
また、このクルマはひとりで移動する時間をより贅沢にする装備が多数用意されていました。本革とアルカンターラを組み合わせたシート表皮が設定されていたり、助手席を倒してテーブルに使えることなどからも、R1独自ならではのコンセプトが感じられます。
内装色に赤が用意されていることからも、この軽自動車がオーナーの所有欲をくすぐるようなクルマであることが分かります。
※ ※ ※
日本のクルマは、これまで大きく豪華になりつづけてきました。巨大化した結果、衝突安全性能や快適性が向上したりデザインの自由度が増すなどの利点が生まれてきたことは確かです。
しかし、自動車市場の新しい流れとして「所有」だけではなく「レンタル」や「シェア」という考え方が生まれているなかで、小さなクルマが時代にフィットする部分も大きくなりつつあります。
今回紹介したモデルの大半は生産終了してしまったものの、いまこそ新たな「小さなクルマ」が求められているのではないでしょうか。
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