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レオ様お買い上げ! ボンドカーを2台デザインした男が作ったフィスカー「カルマ」とは?

くるまのニュース / 2020年9月27日 19時10分

ボンドカーであるBMW「Z8」にアストンマーティン「DBS」をデザインしたヘンリック・フィスカーが手掛けたPHEVモデル「カルマ」とは、一体どのようなクルマだったのだろうか。

■BMW「Z8」やアストンマーティン「DB9」をデザインしたフィスカー作

 アメリカのプラグインハイブリッド=PHEVベンチャー、フィスカーが経営破綻したのは2013年のことだった。

 現在でもその活動が復活するという夢を抱くカスタマーは多いが、そのもっとも大きな理由は、かつてBMWなどで手腕を奮ったヘンリック・フィスカーの大胆にして独創的なデザインが高く評価されているからだろう。

 もし現代にフィスカーが復活するとしたら、あるいはそのプロダクトはPHEVではなくBEVだろうか。かつて生産されたカルマのドライブトレイン・コンセプトは、「EVer」=エレクトリック・ヴィークル・エクステンデッド・レンジと呼ばれるもので、これは駆動力をエレクトリックモーターで得る一方、必要時には同時に搭載されるレンジ・エクステンダーとして搭載されるガソリンエンジンでバッテリー充電をおこなうというものだった。

 カルマのガソリンンエンジンは、駆動力を生み出すことはなく、単純にジェネレーター=発電機としての機能を持つのみ。カルマのそれはGM製の2リッター直列4気筒ターボエンジンが、その役割を担っていた。

「カルマ」の後輪に駆動力を生み出すために、フィスカーには2基のエレクトリックモーターが搭載されていた。最高出力はトータルで408ps。リチウムイオン・バッテリーはA123システムズ製で、容量は20.1kWh。このA123システムズの経営危機もまた、フィスカーがカルマの生産中止の直接的な理由となった。

 カルマの走行モードは2タイプだ。ひとつは「ステルスモード」と呼ばれるもので、これは走行可能距離が50マイル(80km)とされる、エンジンによる発電をおこなわない完全ゼロエミッションのEV走行モードである。

 もうひとつは「スポーツモード」で、こちらはエンジンによる発電をおこない、走行可能距離を一気に300マイル(約483km)にまで延長できる。

■納車1号車はレオナルド・ディカプリオのもとへ

 パフォーマンスデータも、実に魅力的なものだった。ホイールベースは3160mm、ボディサイズは全長4998×全幅2133×全高1330mmという大柄なカルマは、ドライウエイトでも2404kgという重量級のモデルであるにも関わらず、0−60マイル加速は6.3秒、そして最高速は125mph(200km/h)を実現していたのだ。

 前後のホイールは22インチ径で、その内側にはブレンボ製のブレーキシステムが備わっている。このブレーキには、もちろんエネルギー回生機能が与えられている。

●2011 フィスカー「カルマEV」

バッテリーのリコールさえなければ、フィスカーの将来は全く違ったものになっていただろう(C)Bonhams 2001-2020バッテリーのリコールさえなければ、フィスカーの将来は全く違ったものになっていただろう(C)Bonhams 2001-2020

 装備の充実ぶりも、カルマのカスタマーには嬉しいところだった。ルーフのソーラーバッテリーからは、室内装備へと電力を供給する仕組みだが、これだけでも年間200マイル程度の航続距離をプラスすることが可能だと当時フィスカーはアナウンスしていた。

 ちなみにカルマのフル充電に必要な時間は、220V電源からならば約6時間。その実用性や機能性に不満を唱えるカスタマーは少なかった。

 2011年にセールスを開始したフィスカー・カルマ。そのファースト・カスタマーとなったのは、俳優のレオナルド・ディカプリオである。流麗でクラシカルなデザインとPHEVであるという先進性を融合したカルマは、実用的な4ドアであったため、意識の高いセレブの間で注目を集めることとなる。

 以後経営破綻するまでに、およそ2450台が生産されたとされるカルマだが(2016年にカルマ・オートモーティブ社として再建され、カルマの生産も再開されている)、それがオークション・シーンに登場することはきわめて稀なことだ。

 エコロジー、エコノミー志向の強いPHEVやBEVのカスタマーは、長期間それを所有することを前提にしているからだ。

 今回ボナムス1793の、ザ・ボンモント・セールに出品されたカルマは、スイスで登録された2011年モデル。走行距離はわずかに3100kmのワンオーナーカーと、カルマを手に入れるには最高の条件が揃っている。

 参考までにボナムス1793の予想落札価格は、5万−7万スイスフラン(邦貨換算約580万円−820万円)。希少な高性能PHEVではあるが、A123システムズ製のリチウムイオン電池のリコールの記憶を拭い去ることはできず、流札となった。

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