カッコイイ派? それともカワイイ派!? デザインが注目された軽自動車5選
くるまのニュース / 2020年11月4日 6時10分
現在、日本でもっとも売れているクルマといえば軽自動車です。誕生以来、庶民の足として活躍してきた軽自動車ですが、単に安価で使い勝手を追求してきただけでなく、優れたデザインと評されたモデルも存在。そこで、デザインが注目された軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。
■デザインに力を入れた軽自動車を振り返る
スズキは1955年に初の4輪自動車「スズライト」を発売しました。スズライトは日本初の本格的な軽自動車として誕生し、現在まで続く軽自動車の基礎となったモデルです。
それ以来、軽自動車は庶民の足として愛され、現在は機能的にも飛躍的に進化した結果、日本でもっとも売れているクルマとなりました。
もともとは廉価で十分な性能と使い勝手の良さがクローズアップされる存在だった軽自動車ですが、デザインに力を入れた個性的なモデルも存在。
そこで、デザインが注目された軽自動車を、5車種ピックアップして紹介します。
●ホンダ「トゥデイ」
それまでの概念を覆したデザインを採用した初代「トゥデイ」
1974年に軽乗用車の生産を終えたホンダは、1985年に、軽ボンネットバンの初代「トゥデイ」を発売。11年ぶりの乗用タイプとなるトゥデイは、ホンダが提案する新世代の軽自動車として開発されました。
外観の特徴は、極端に短いフロントノーズと、ボンネットのラインがそのままフロントウインドウを経て、後端までつながるロングルーフによる、低く伸びやかなフォルムです。
1981年に発売された初代「シティ」が全高を高くすることで広い室内空間を確保していたのと、真逆のデザインコンセプトで、それまでの軽ボンネットバンの常識を覆したほどでした。
大胆なショートノーズを実現するため、シリンダーを水平近くまで寝かせた550cc直列2気筒エンジンを搭載し、下方にデファレンシャルギヤを配置。
このショートノーズと、新開発のサスペンションによってタイヤをボディの四隅に配置することで、広い居住空間を確保しています。
初代トゥデイは、ほかにはない新たなデザインの軽自動車を提案したことが高く評価され、1986年度に「グッドデザイン賞」を受賞しました。
●マツダ「キャロル」
カワイさとスポーティさを兼ね備えた2代目「キャロル」
1960年に、マツダは「R360クーペ」で4輪乗用車市場に参入。完成度の高い外観デザインと低価格で「スバル360」と人気を二分するほどでしたが、実質2人乗りのR360クーペは次第に人気を失い、替わりのモデルとして1962年に初代「キャロル」を発売します。
初代キャロルは、18馬力を発揮する先進的な水冷4サイクル直列4気筒OHVのオールアルミエンジンを、リアに搭載。3BOXのセダンタイプのユニークなボディでした。
しかし、キャロルは重い車体と非力なエンジンが災いし、販売が低迷したことで1970年に生産を終了。
それから20年近く経った1989年に、ユニークなデザインの軽自動車として2代目キャロルが登場。
2代目は丸みを帯びた3ドアハッチバックの車体で、女性をターゲットユーザーとしていたことが見事に当たり、ヒット作となります。
シャシやエンジンなど主要なコンポーネントはスズキから供給され、内外装はマツダ独自のデザインと、単なるOEM供給ではないことも斬新でした。
エンジンは当初550ccでしたが、軽自動車規格変更後は660ccエンジンを搭載し、トップグレードには最高出力61馬力の直列3気筒SOHCターボが設定されています。
そして、1995年には3代目にモデルチェンジし、4代目以降はスズキ「アルト」のOEM車となって、現在に至ります。
●スズキ「ワゴンR」
軽トールワゴンのスタイルを確立した初代「ワゴンR」
1993年に発売されたスズキ初代「ワゴンR」は、4代目「セルボ」をベースに広い室内を実現した軽トールワゴンの草分け的存在です。
まるで小さなミニバンのようなボディで、大人4人が快適に乗車でき、フラットになるリアシートから生みだされる広いラゲッジスペースや、視界と乗降性に優れたドライビングポジションなどが特徴で、新時代の軽自動車として開発されました。
従来の女性ユーザーだけでなく30代の男性ユーザーをターゲットとしたことで、車高の低い一般的な軽乗用車や、商用車から派生した1BOXタイプでは満足できない層に受け入れられ、大ヒットを記録。
使い勝手と走りのバランスの良さが認められると、競合メーカーからも次々と類似車種が発売されたほどです。
ワゴンRは、その新しさが認められ1993年のグッドデザイン賞を受賞。その後も2008年、2012年、2017年とグッドデザイン賞を受賞し、2009年度はグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞するなど、ブレないコンセプトが高く評価されました。
■デザインコンシャスなモデルと超高性能モデル
●ダイハツ「リーザ」
室内の居住性よりもデザインを優先したことが成功した「リーザ」
1986年にデビューしたダイハツ「リーザ」は、軽スペシャリティカーとして開発されたモデルです。
外観は全高を低くしたクーペスタイルとされ、リアシートの居住性や荷物の積載性よりもデザインを優先したことで、実用的な「ミラ」と比べてスタイリッシュなフォルムを実現。
リーザは「プライベート感覚」や「ファッション感覚」といった感性を重視しことで、若い女性ユーザーを中心に支持されました。
搭載されたエンジンは最高出力50馬力を発揮する550cc直列3気筒ターボと、32馬力の自然吸気が設定され、トランスミッションは2速AT、4速MT、5速MTが設定されていました。
その後、軽自動車規格の変更により660ccエンジンが搭載され、ボディは前後バンパーの変更によって新規格に対応して販売を継続。1991年には、派生車のオープン2シーターモデル「リーザスパイダー」が追加され、大いに話題となります。
リーザは一定のニーズがあったものの、シャシが旧規格のままだったことから1993年に生産を終了。1992年に実質的な後継車として「オプティ」が発売されました。
●三菱「ミニカ ダンガンZZ」
高性能モデルながらシックなデザインが印象的な「ミニカ ダンガンZZ」
1980年代になると、軽自動車にもターボ化の波が押し寄せ、高性能化が加速しました。そうした状況のなか、1987年にスズキ初代「アルトワークス」が発売され、パワー競争が激化。
三菱は1989年に発売された6代目三菱「ミニカ」に、550cc時代の切り札として、高性能モデルの「ミニカ ダンガンZZ」をラインナップします。
搭載されたエンジンは550cc直列3気筒SOHCの「3G81型」をベースに、1気筒あたり吸気3本、排気2本のバルブを持つ、量産自動車では世界初のDOHC5バルブ仕様と、DOHC5バルブターボ仕様を設定。
ターボ仕様の最高出力は、ライバルのアルトワークスに並ぶ64馬力を発揮し、最高回転数は9000rpmを達成。
外観は少々ヤンチャなイメージのアルトワークスに対してシックな印象ながら高性能さを随所でアピールし、控えめな形状のエアスクープやリアスポイラーに、3本出しマフラーが斬新でした。
なお、1990年には660ccの5バルブ仕様に換装されたので、550ccのミニカ ダンガンZZは、わずか1年ほどの生産で終了。いまでは希少なモデルです。
※ ※ ※
現行モデルの軽自動車は、性能や装備、安全性が飛躍的に向上して、多人数乗車を想定しなければ、ファーストカーとしても十分に機能します。
一方で、価格が200万円に迫るモデルがあり、車重も1トン以上のモデルも存在するなど、軽自動車本来のコンセプトとは乖離してきたことも否めません。
とはいえ、とくに安全面を軽視することはできないことから、軽量で安価なモデルを開発することは、今後ますます難しくなることでしょう。
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