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なぜ背が高い方が良い? 軽市場7割占めるハイトワゴンが人気になったワケ

くるまのニュース / 2020年12月25日 9時10分

昨今の軽自動車市場では、全高1700mm以上かつ後席スライドドアのスーパーハイトワゴンと、全高1600mmかつ後席ヒンジドアのハイトワゴンが全体の7割を占めています。では、いつから背が高い軽自動車の人気が出てきたのでしょうか。

■スーパーハイトワゴンの誕生のきっかけは?

 全国軽自動車協会連合会の発表によると、近年の販売台数で上位を占めているのがスーパーハイトワゴンとされています。この人気には、いったいどういった理由があるのでしょうか。

 ハイトワゴンを語るには欠かせない存在のスズキ「ワゴンR」は、1993年に登場しました。それまでの軽自動車のイメージだった「小さい」「狭い」という常識を打ち破るその形が、今のスーパーハイトワゴンの原点といわれています。

 当時のハイトワゴンは、全高1550mm以上の背が高いボディで大人4人が余裕をもって乗れるという広く快適な居住空間、使い勝手の良いラゲッジスペースが特徴でした。

 当時それまでにはない新しいモデルとして、ワゴンRは発売してすぐに高い評価と人気を得て、1996年10月には、発売から3年2か月で累計販売台数50万台を達成するという快挙を成し遂げています。

 その影響を受けてか、1995年にはダイハツ「ムーヴ」、1997年にはホンダ「ライフ」、1998年には三菱「トッポBJ」と、続々とハイトワゴンが登場しました。

 このワゴンRの誕生が「軽ハイトワゴン」という新しいコンセプトを定着させ、後に「元祖スーパーハイトワゴン」と呼ばれるようになったといわれています。

 そして2003年には、ダイハツが全高を1700mm以上まで上げた「タント」を発売。

 当時の軽自動車では最大の2440mmのホイールベース、2000mmの室内長による広々とした空間、豊富な収納スペースが特徴で、ハイトワゴンよりさらに全高を上げた「スーパーハイトワゴン」の誕生となりました。

 タントが登場してから、スズキから「パレット」とその後継モデルの「スペーシア」、ホンダからは「N-BOX」、ダイハツ「ウエイク」、三菱「eKスペース」、日産からは「デイズルークス」(2020年にはルークスとして登場)と、各メーカーからさまざまなスーパーハイトワゴンが登場しました。

 現在では、全高1700mm以上かつ後席スライドドアを採用しているのがスーパーハイトワゴンの特徴で、ハイトワゴンは全高1600mmかつ後席ヒンジドアというのが主流となっています。

 その利便性の高さから、ファミリー層を中心に支持を得て、全国軽自動車協会連合会の発表によるとハイトワゴンとスーパーハイトワゴンは、軽乗用車の7割程度のシェア率を保持し、現在も軽自動車を牽引しています。

 スーパーハイトワゴンにおいて、もっとも人気の高いのがN-BOXです。初代モデルは2011年12月に登場しました。

 販売台数では、登場した翌2012年には21万1156台の売り上げを記録しており、ランキング2位となっています。

 また、2015年から現在に至るまで販売台数は5年連続で1位を獲得するほどの人気ぶりです。

 ボディサイズは、全長3395mm×全幅1475mm×全高は1790mmとなっており、室内長は2180mmと当時の軽乗用車としては最大級の室内空間を生み出しました。

 また、新開発されたDOHCエンジンと高性能ターボチャージャーを組み合わせることで、低回転域から最大トルクを発生させ、力強い加速を実現。さらに、動力効率の高い新開発CVTトランスミッションにより、燃費性能(JC08モード)で22.2km/Lと優れた低燃費を実現しています。

 2017年9月には、2代目へとフルモデルチェンジをおこない、好評だった広い室内空間は刷新され、初代モデルより60mm拡大された室内長2240mmとなりました。

 2代目モデルでは、プラットフォーム、パワートレインが新たに開発され、自然吸気エンジンにi-VTECを、ターボエンジンには電動ウェイストゲートを、それぞれ軽自動車で当時初めて採用しています。

 さらに燃費性能は25.2km/Lと、初代モデルに比べてより優れた燃費性能となりました。

 安全面については、「ホンダセンシング」が全タイプに標準装備され、より安全な走行を実現。

 そして2020年12月24日には、2代目モデルとして初の内外装変更を伴うマイナーチェンジを発表します。

 細部の質感にこだわったデザインやホンダセンシングのバージョンアップ、CVTの変速制御変更などが刷新されました。

 スーパーハイトワゴン人気とN-BOX人気について、ホンダは次のように話しています。

「初代N-BOXが登場した2011年当時の軽自動車市場では、若年層が約5割を占めていることや、郊外や地方部での『日常の移動手段』としての需要が高いことが調査で分かっていました。

 また、それまでの軽自動車に対するイメージはどちらかというとサブとしての役割やビジネスでの用途が多かったです。

 そのため、ホンダでは『軽自動車という枠や既成概念にとらわれない』という開発思想で、初代N-BOXを投入しました。

 そのため、初代N-BOXでは『軽最大の室内空間』『使い勝手の良さ』『高い走行性能』という価値により、これまでの軽自動車の概念を一新するクルマとして誕生したのです。

 そして二代目N-BOXでは、この3つの価値に加えて先進技術と独創的価値によって他車との差別化を図り、『次世代ファミリーカーの新基準』として現在では幅広い世代のお客さまに支持されています」

※ ※ ※

 また、ホンダの販売店では「最近の軽自動車は背が高いことが定番化しており、その室内空間の広さを魅力に感じるお客さまは多いです」といいます。

 かつての「小さい」「狭い」というイメージを払拭し、現在では「大きい」「広い」という軽自動車の概念を打破したことが背の高い軽自動車が人気になった一番の要因だといえます。

■初代からファミリー層重視だったタント、センターピラーが無いのが特徴?

 同じくスーパーハイトワゴンジャンルで人気を博しているタントは2003年に初代モデルが登場しました。

 初代モデルのコンセプトは「しあわせ家族空間」となっており、ファミリー層をメインターゲットにワンボックスほどの快適なスペースを創り出した軽自動車として開発されました。

 2007年に登場した2代目モデルは、使い勝手を追求した「ミラクルオープンドア」が採用され、子育て世代の女性を中心に支持を得ました。

 そして2013年に登場した3代目モデルでは、「ミライース」で培った低燃費・低価格という軽の本質をベースに、車両特性に合わせた付加価値を追求し、軽自動車の多様な広がりを目指すモデルに仕上がっています。

 助手席側の大開口を確保するミラクルオープンドアによる抜群の乗降性と室内空間の拡大による使い勝手のよさを追求し、より高い次元で生活の中心にある「軽」のスタンダードモデルを提案。

 樹脂パーツの採用による軽量化と空力への配慮による高い燃費性能の達成やスマートアシストの実装による安全性も確保しました。

 全国軽自動車協会連合会の発表によると、2014年販売台数が23万4456台となり、ダイハツとして初めて新車販売台数1位を獲得。

 その後、マイナーチェンジを繰り返し、2019年7月にフルモデルチェンジして発売された4代目モデルでは、子育てファミリーからシニアを中心に幅広い年齢層から支持を得て、月販目標台数の約3倍となる約3万7000台が受注されるという躍進を見せました。

センターピラーレスを採用することで、室内空間の居住性や使い勝手は大きく向上しているセンターピラーレスを採用することで、室内空間の居住性や使い勝手は大きく向上している

 現行の4代目モデルについて、ダイハツの販売店スタッフは以下のように話します。

「運転席のロングスライドや、ミラクルオープンドアは、タントの武器です。幅広い年齢層の方から好評を頂いております。

 ほかには、オプションである助手席が30度回転する『助手席ターンシート』や、ドアの開閉に連動して自動で展開・格納する『ミラクルオートステップ』など、乗り降りに関係した装備が好評です。

 さらに、ミラクルオープンドアは思ったより広く感じる、運転席のシートは思ったより動く、ミラクルオートステップは思ったより頑丈といった『思ったより良い』という意見が多いように感じます」

※ ※ ※

 軽自動車というと比較的少人数で乗るイメージが強かったものが、スーパーハイトワゴンという新しいコンセプトのモデルの登場により、ファミリー層を中心に支持を得ました。

 近年では時代やニーズ、購入層にあわせて広さ・機能をフルモデルチェンジやマイナーチェンジを実施しています。

 単純な移動手段という役割ではなく、室内空間における余裕のある居住性や、通勤・通学やアウトドアレジャー・車中泊といったシーンを選ばない使い勝手の良さ、そして普通車並みの走行・安全性能の向上によって現在の軽自動車市場が成熟してきました。

 そしてその、けん引役がスーパーハイトワゴンの人気に繋がるのです。

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