F1撤退後、ホンダのモータースポーツはどうなる? EV版タイプRの開発も視野に
くるまのニュース / 2021年4月27日 11時10分
F1から撤退するホンダにとって、2021年は参戦最終年。カーボンニュートラルの実現に向けて大きく舵を切るにあたり、同社のモータースポーツはどうなるのでしょうか。
■ホンダF1ファイナルイヤーでファンに感謝
2021年シーズンは角田裕毅選手の参戦もあり、日本のF1ファンの期待が高まるF1日本グランプリ(2021年10月10日決勝)。
ホンダがタイトルスポンサーとなり、正式名称が「2021 FIA F1世界選手権シリーズ第17戦 Honda日本グランプリレース」になることが決まりました。
ホンダのブランドコミュニケーション本部・渡辺康治本部長は「ホンダにとってF1参戦最終年となりますが、ファンの皆様、そして各方面への関係者の皆様にこれまでの感謝の意を示したい」とF1への挑戦を続けてきたホンダの想いを表現しました。
鈴鹿サーキットでは1987年のF1初開催以来、2021年で31回目のF1となり、延べ入場者数は800万人を超えています。
気になるのは、ホンダワークス活動終了後のF1日本グランプリの行方ですが、2022年から2024年まで開催契約が決定したこともあわせて発表されました。
そして、2022年は鈴鹿サーキット開業60周年にあたり「歴史と伝統を振り返りながら、ニューノーマル社会におけるモータースポーツの在り方をご提示したい」(鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎを所管するモビリティランド・田中薫社長)として、スペシャルイベントの開催が示唆されています。
また、ホンダはF1撤退後、2050年のカーボンニュートラルに向けた社内大転換を打ち出しています。
そのうえで、今後のモータースポーツ活動について「当面はエンジン開発も続くなかで、四輪レースの方向性はこれまでと変わりはない」(渡辺氏)とし、「カーボンニュートラル時代に電動化を含また新しいモータースポーツの形となっても、国内サーキットのリーダーとして鈴鹿サーキットとツインリンクもてぎの運営に取り組んでいきたい」(田中氏)という将来への意気込みを語りました。
とくに、ツインリンクもてぎは「開業以来、“人と自然の共生”をモットーに脱炭素社会への貢献を続けている」(田中氏)と指摘します。
■EV版「タイプR」の登場に期待高まる
F1ホンダ日本GP発表会見の前日、ホンダは4月に社長に就任した三部敏宏氏がホンダの将来事業について「2040年までにグローバルで全ての新車をEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)にする」という野心的な目標を発表しています。
そのなかで三部社長は「2020年10月に公表しているように、F1撤退後は、F1開発の主力メンバーはカーボンニュートラルに向けた技術開発に専念するなど、会社をあげて資源を集中的に投入する」と改めてカーボンニュートラル実現に向けた強い意志を表明しました。
さらに、F1撤退後のホンダのモータースポーツについては「GTレースは継続し、また新しい電動化でのレースカテゴリーで、それがホンダにとって有意義であるならば参戦を検討することもあり得る」という考えも示しました。
ホンダといえば、F1を筆頭にモータースポーツを「走る実験室」、また「量産車のエンジニアを鍛え上げる場」として活用してきましたが、EVについてもそうした“ホンダらしさ”は継承されるのでしょうか。
今回の発表で、ホンダが進めるEVプラットフォームは、北米を主体にGMと協業する中型車向け「アルティウム」と、ホンダが独自開発する中小型車向け「e:アーキテクチャー」の2本立てになることを明らかにしています。
F1日本GPについての報告会見。2021年4月24日撮影。
e:アーキテクチャーとは、旧来のクルマでいうプラットフォーム(車体)に加えて、モーターとギアボックスが一体化した「eアクスル」、さらに電気と電子関連部品やソフトウエアの「e&eアーキテクチャー」で構成されるといいます。
そのうえで「EVはお客様目線では、差別化が難しい」という観点から「そうしたなかで、ホンダとしてどういった特長を出すのか、技術的にはいろいろな(社内)提案がある」と現状を説明しました。
具体的には「(従来のモデルでいえば)『タイプR』や『タイプS』のような、“走り仕様”というところも含めて開発を考えているところです」として、電動化でもホンダらしさを何らかの形で量産することを目指すことを明らかにしました。
ホンダは、四輪、二輪、そして発電機などパワープロダクツを含めて年間3000万基を製造する世界一のパワーユニットメーカーです。
そのホンダが2040年に向けて、四輪事業でのEV/FCVへの完全シフトを打ち出したのです。
モータースポーツについて、またタイプRに代表されるスポーティな量産車に対して、今後どのようにして「ホンダらしさ」をユーザーに届けていくのか、大きな期待を持ってホンダの未来を見守っていきたいと思います。
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