炎上したら大変! フェラーリ「F40」の最新落札価格は2億2000万円!
くるまのニュース / 2021年6月1日 11時10分
フェラーリのスペチアーレモデルのなかでも、とくに人気のある「F40」が最新オークションに登場。現在の落札相場をレポートする。
■フェラーリのスペチアーレは価値が下がらない
フェラーリ「F40」は、すでに伝説といってもいいクルマだろう。エンツォ・フェラーリが手掛けた最後のスーパーカーというだけでも価値があり、フェラーリ40周年記念車というのも意味合いが大きい。また、最高速度324km/hというのは、当時の市販車の世界最高速度だ。
●1992 フェラーリ「F40」
1987年、F40が発表されたときには、400台のみ生産するというアナウンスがあり、その後あまりの反響の大きさから、最終的には1300台ほどの生産となった。しかし全世界でわずか1300台ほどしか存在しない、というのも、F40の価値を高めている。
メカニカルな部分でも、当時のフェラーリが技術の粋を尽くしている。レーシングカー用として開発されたスチールチューブフレームにセットしたボディは、カーボンファイバーとケブラーで構成されており、そのデザインはピニンファリーナの風洞でテストを重ねた上でつくられている。サスペンションは4輪ダブルウィッシュボーン式、エンジンは2.9リッターV型8気筒ツインターボで、わずか1100kgという車重に対して、478ps/7000rpmというパワーと、577Nm/4000rpmというトルクが与えられた。
実際の走りに関しては、残念ながら筆者はF40を運転したことがないので分からない。ただ、漏れ伝わってくる話を紹介すると、開発に参加したフェラーリF1チームのドライバー、ゲルハルト・ベルガーが「雨の日には乗りたくない」と評したくらいブースト圧が一気に掛かる、いわゆるドッカンターボだったらしい。日本で試乗したとある自動車ジャーナリストが崖から落としたという話も有名だ。その実力を発揮するのは、相当に難しかったのではないだろうか。
また、パワーステアリングが装備されていないことに加えて、ブレーキもサーボによるアシストがないダイレクト式であり、クラッチも非常に重かったという話も聞いている。快適とはほど遠いスパルタンさがあったのだろう。また、エンジンのオイル漏れやパイプのつなぎ目からの燃料漏れなどもよくあるようで、実際、車両火災事故も起きている。ごく最近、箱根で炎上してしまったことも、記憶に新しいところだ。
とはいえ、F40はF40である。日本での新車販売価格は4650万円で、バブル期の登場ということもあって、すぐに中古市場での価格は1億円を超え、その時すでに最高で2億5000万円ほどにもなっていた。生産台数の少なさ、40周年記念車であること、その当時の最高の技術が注ぎ込まれていることを考えれば、今後も確実に値上がりを続けるクルマである、といっていいだろう。
■「F40」の最新オークション結果は2億円オーバー!
そんなF40だけに、オークションに登場する機会は、それほど多くない。登場するときには、オーナーが亡くなってしまったなど、やむを得ない事情で手放すことになったときくらいだ。
そのため、F40を手に入れたいという人は、オークションに登場した際には大きな熱意を持って入札をする。そのため、ハンマープライスが予想以上の高額となるケースも多い。
●1992 フェラーリ「F40」
レーシングカーをオンロード仕様に仕立てたようなスパルタンな「F40」(C)2021 Courtesy of RM Sotheby's
今回RMサザビーズオークションに登場したF40は、最終的には204万ドル(約2億2300万円)での落札となった。
この個体の高額での落札の理由は、新車登録からの履歴がはっきりしているということにある。1992年にマラネロで組み立てられた、シャシナンバー「93103」という個体である。
F40は発表当初、ヨーロッパでの販売のみを想定しており、排ガス浄化のための触媒や、エアコンの装備もなかったのだが、1990年になって規制が厳しいアメリカ向けとして、触媒とエアコンを装備したモデルがつくられるようになった。そのアメリカ向け車両の総数は、213台といわれている。
シャシーナンバ「93103」は、1992年に生産されたアメリカ向け60台のうちの1台。1994年4月にテキサス州ヒューストンに納入され、ユタ州のコレクターに販売されている。
その後、2000年になってフロリダ州のディーラーに売却されたが、そのときの走行距離は398マイル(約640km)に過ぎなかった。
その車両を購入したフロリダ州のデレック・ウッズ氏は、2004年に開催された第13回キャバリノ・クラシックというイベントに出展。その後オーナーは変わったが、2020年のキャバリノ・クラシックでは、スーパーカークラスのプラチナ賞を受賞している。
こうした履歴がわかるのは、メンテナンス作業も含めたすべての記録が残っているからだ。最新の整備記録は、2020年11月にセルモーターとオルタネーターに加え、ホーン、タイヤの交換がおこなわれている。また、アライメント調整やステアリングギアボックス、フューズパネルのリビルドも同時に施された。走行距離は通算で3304マイル(約5286km)とローマイレージだ。まさしくコンクールコンディションを維持し続けているという部分も、高額での落札につながったポイントといえるだろう。
自動車の歴史のなかでも、貴重な1台といえるF40。電動化が焦点となりつつある自動車の世界にあって、こうしたクルマがつくられる可能性は、ほぼないだろう。今回落札した新たなオーナーのプロフィールは分からないが、可能であれば車庫にしまってしまうのではなく、多くの人の目に触れるよう積極的にイベントなどに参加してもらいたいものだ。
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