ボルボ「XC60」はなぜ心落ち着く? 長距離ドライブで感じたその理由
くるまのニュース / 2021年7月28日 20時10分
2017年にフルモデルチェンジして2代目へと進化したボルボのミドルSUV「XC60」。日本だけでなく世界中で人気モデルとなり、2021年上半期にはボルボ販売のおよそ3台に1台がXC60だといいます。なぜ、XC60はこんなにも人気なのでしょうか。九州をロングドライブして、その魅力を探りました。
■今回のドライブテーマは「九州・神社巡り」
久しぶりに届いた編集部Nさんからのメッセージは「ボルボで九州をドライブしましょう。テーマは神社巡りです」というものでした。
九州といえば、邪馬台国伝説も残る(諸説あります)ほど古代から伝わる物語が豊富で、立派な由緒を誇る神社が多数存在しています。私も神社仏閣はキライではないというか、どちらかといえば好きなほうなので、Nさんの口車、ではなくお誘いに乗ることにしました。
福岡に到着した私たち“くるまのニュース取材班”を待ち受けていたのは、ボルボ「XC60 B6 AWD R-デザイン」。
XC60は、グローバルな販売台数が2021年上半期だけで11万台を超えた大ヒット作。同時期、ボルボ車全体で約38万台を販売したので、世界中で売れるボルボの3台に1台がXC60といっても過言ではないほど、同社にとっては重要なモデルです。
ところで、自動車の電動化が騒がれている昨今ですが、ボルボはなんと昨2020年のうちに電動化を完了していて、すべてのボルボがEV、PHEV、マイルドハイブリッドのいずれかとなっています。試乗車のXC60 B6 AWD R-デザインはマイルドハイブリッドで、これは立派に電動車の仲間です。
最近よく耳にするマイルドハイブリッドですが、その言葉どおり、利き方がマイルドなハイブリッドです。
一般的なハイブリッドはストロングハイブリッドとも呼ばれ、バッテリーやモーターの電圧は200Vを超えますが、ボルボのマイルドハイブリッドは48V。このためストロングハイブリッドのように電気の力だけで走ることはできませんが、モーターは最大で40Nmのトルクを発揮。これだけの力があると、市街地での加速でぐぐっと後ろから押されるような力強さが感じられます。
ちなみに最近マイルドハイブリッドが流行っているのは、この「ぐぐっ」と押される力強さを活用してエンジンの負担を軽減し、加速時の排出ガス排出量を減らすのがおもな目的です。
最新のヨーロッパの排出ガス規制は、以前と違ってこの「ぐぐっ」と加速する領域まで計測するようになったので、モーターの助けを借りてエンジン負荷を減らすことで排出ガス規制をクリアしているのです。
大分県・湯布院と由布岳を結ぶ県道216号線「やまなみハイウェイ」を走る
XC60 B6は、このマイルドハイブリッドに加えて電動スーパーチャージャーまで装備。これは、皆さんご存じのターボチャージャーを排出ガスに加えて電気モーターでも回すもので、低回転域でも素早い加速が可能になります。
XC60 B6の場合、トータルの最高出力はなんと300ps、最大トルクは420Nmと、スポーツカー並みのパフォーマンスを誇ります。
■高速道から山道まで およそ400kmのロングドライブ
朝7時にホテルを出発した私たちはまず、菅原道真公をまつった太宰府天満宮にお参りしました。
太宰府天満宮の参道でのボルボ「XC60」
博多駅前にあるホテルからたった34kmの距離でしたが、長い参道の先にあるお社はとても静かで、心洗われる思いがしました。ちょうど近所の高校の通学時間と重なったので、学生の皆さんの学業成就もあわせてお祈りさせていただきました。
次の目的地は高良山のいただきにある高良大社。途中、ちょっとしたワインディングロードがあったので、XC60 B6の走りを確かめてみました。
最近のボルボはどれも足回りがスポーティで、コーナーを気持ちよく駆け抜けることができます。
XC60も例外ではなく、次々と迫ってくるコーナーをリズミカルにクリアできました。300psのパワーと聞くと扱いづらいエンジンを思い浮かべるかも知れませんが、実際にはそんなことなく、低速域でも粘り強いので扱いやすく、しかも、ここぞというときにはレスポンスよくパワーを発揮してくれるので、小気味のいい走りが満喫できました。高回転域まで引っ張ったときのエンジン音も、音量は低めですが乾いた快音で、かなりスポーティな雰囲気を味わえると思います。
そうこうしているうちに高良大社に到着。足腰が弱りかけているくるまのニュース取材班は、ここで130段ほどの階段を歩いて上り、ふーふーいいながらお参りを済ませました。
3番目の目的地は宇佐神宮。高良山からは130kmほどの距離で、途中、高速道路を利用しました。
ここでは、アダプティブクルーズコントロールやアクティブレーンキーピングの助けを借りたので、ドライバーとしてはずいぶん楽をさせてもらいました。こうやってゆったりと高速道路を走るとエンジンは静かだし、北欧家具を思わせるインテリアは整然としていて趣味がよく、すーっと心が落ち着いてきます。
ちょっと強引ですが、この心が落ち着く感じは神社でお参りしているときの心持ちと近いように思います。自然に囲まれると、人間の心が自然と静まりかえっていくように、厳しい自然の北欧で生まれたボルボにも、どこか似たようなところがあるのかもしれません。もしくは、もの静かなのに温かいスウェーデンの人々の心が、このクルマには宿っているのでしょうか。
上宮と下宮に分かれた宇佐神社はとても敷地が広く、またうっそうとした森に囲まれた境内は、荘厳で厳粛な雰囲気に包まれていました。
午後1時過ぎに参道のお食事処で名物のだんご汁をすすったわれわれ取材班は、大急ぎで福岡空港に向けて出発。140kmほどの道のりを駆け抜けて、約束の午後4時ちょうどに帰着しました。
この日の総走行距離はおよそ400km。一般道も少なくなかったことを思えば、それなりの強行軍でしたが、大して疲れもせず、安全に走り切れたのはXC60のおかげだったと思います。
※ ※ ※
少し辛辣なことを書いちゃうと、XC60がこのクラスでいちばん乗り心地がいいとか、いちばんハンドリングが優れているとか、もっともパワフルなどというようなことは残念ながらありません。
それでも、人により添ったクルマ作りが良好なバランスを生み出し、ボルボを長時間ドライブでも疲れにくいクルマにしているのだと思います。
深い心の安らぎが得られるという意味で、やっぱりボルボと神社は似ているといったら、いくらなんでも強引でしょうか(笑)。それでもXC60で訪れた神社巡りが楽しかったのは事実なので、ボルボには心から「ありがとう」といいたい気分です。
太宰府天満宮の参道でのボルボ「XC60」
VOLVO XC60 B6 AWD R-DESIGN
ボルボXC60 B6 AWD インスクリプション
・車両価格(消費税込):799万円
・オプション込み試乗車価格:840万9650円
・全長:4690mm
・全幅:1915mm
・全高:1660mm
・ホイールベース:2865mm
・車両重量:2130kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボ+S/C+モーター
・排気量:1968cc
・駆動方式:4WD
・変速機:8速AT
・エンジン最高出力:300ps/5400rpm
・エンジン最大トルク:420Nm/2100-4800rpm
・モーター最高出力:10kW/3000rpm
・モーター最大トルク:40Nm/2250rpm
・タイヤサイズ:255/40R21
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