働く車と呼んでいいの? ちょっと前のイカしたピックアップトラック3選
くるまのニュース / 2021年10月19日 6時10分
2021年10月8日に、トヨタのピックアップトラック「ハイラックス」が一部改良されると同時に、スポーティなモデル「ハイラックス Z“GR SPORT”」が加わりました。現在、ハイラックは国内メーカーでは唯一のピックアップトラックですが、一時は多くのメーカーがラインナップしていました。そこで、ちょっと前まで販売されていたイケてるピックアップトラックを、3車種紹介します。
■ちょっと前のイケてるピックアップトラックを振り返る
トヨタは2021年10月8日に、ピックアップトラック「ハイラックス」の一部改良を発表。同時にスポーティな内外装を採用した新グレードの「ハイラックス Z“GR SPORT”」が加わりました。
現在、国内メーカーのピックアップトラックというと、ハイラックスが唯一のモデルで、トヨタが孤軍奮闘している状況です。
しかし、かつては個人商店や土木関係などの業務用車両としてピックアップトラックはメジャーな存在であり、複数のメーカーから販売されていました。
また、1990年代初頭に起こったRVブームの頃には、レジャー用途として4WDのピックアップトラックに一定の需要があり、やはり複数のメーカーがラインナップしていました。
その後、RVブームは沈静化し、業務用トラックも、より積載能力が高いキャブオーバー型へと移行し、軽トラックの需要も高まったことから、ピックアップトラックは急激に減少してしまいました。
ハイラックスも一時は国内販売を終了しましたが、2017年に、13年ぶりに国内で発売された経緯があります。
そこで、少し前まで販売されていた、デザインが秀逸なピックアップトラックを、3車種紹介します。
●日産「ダットサン ピックアップ」
最終モデルでスタイリッシュなフォルムとなった「ダットサン ピックアップ」
日産製小型ピックアップトラックの歴史は古く、第二次世界大戦以前から生産されていました。戦後になると小口の物流や工事車両として「サニートラック」と「ダットサントラック」が人気となり、サニートラックは2代目が超ロングセラーとなり、ダットサントラックはモデルチェンジを繰り返して代を重ねました。
そして、最後のモデルとなったのが、1997年に登場した「D22型」ダットサントラックです。
先代の「D21型」は初代「テラノ」のベースとなったモデルで、無骨なデザインから人気となりましたが、D22型はよりスマートなデザインを採用していました。
ボディタイプは業務用のシングルキャブと、レジャー用途のダブルキャブを設定。ダブルキャブには2WDと4WDがあり車名は「ダットサン ピックアップ」とされました。
ダットサン ピックアップに搭載されたエンジンは、最高出力130馬力を発揮する2.4リッター直列4気筒ガソリンと、110馬力の3.2リッター直列4気筒ディーゼルターボを設定。トランスミッションは4速ATと5速MTです。
1997年にはオーテックジャパンから、ダブルキャブ2WDをベースに、車高をローダウンしてエアロパーツを装着したスタイリッシュなカスタマイズモデル「スカイスター」が発売され、1998年には、同じくオーテックジャパンからキングキャブが発売されました。
キングキャブは文字どおりシングルキャブよりも長いキャビンの2ドアで、当初は2人乗りでしたが、後にキャビン後部に簡易的なシートが設置された4人乗りも登場しました。
レジャー用途に特化していたダットサン ピックアップでしたが、需要の低迷から販売台数は減少し、2002年に国内モデルの販売を終了。長い歴史に幕を下ろしました。
●三菱「トライトン」
ピックアップトラックのイメージを変えるようなデザインだった「トライトン」
現在、三菱は海外向けピックアップトラックの2代目「トライトン/L200」をラインナップしており、アジア圏や欧州、オーストラリアなどで販売しています。
2018年にはビッグマイナーチェンジをおこない、三菱のデザインコンセプトである「ダイナミックシールド」を採用したフロントフェイスとするなど、スタイリッシュなモデルです。
そして、日本でも2006年から初代トライトンが販売されていました。
日本で展開されたのはダブルキャブ4WDのみで、外観ではフロントグリル中央に三角形のアクセントを用いた、いわゆる「ブーレイ顔」を採用し、ピックアップトラックながら柔らかな表情のフロントフェイスです。
また、特徴的だったのが後部の下側をラウンドさせた形状のキャビンで、後部ドアもラウンドしており、全体のフォルムも曲面を多用するなど、古くからのピックアップトラックのイメージとは大きく異なりました。
搭載されたエンジンは最高出力178馬力(後期型は186馬力)を発揮する3.5リッターV型6気筒ガソリンを搭載し、トランスミッションは4速ATのみ。1.8トン強の車体にふさわしい大排気量自然吸気エンジンです。
トライトンは1999年に販売を終えた「ストラーダ」以来となる、レジャー向けピックアップトラックでしたが、やはりニーズの低下には抗えず、2011年に販売を終了しました。
●トヨタ「ランドクルーザー 70ピックアップ」
誕生40周年を記念して期間限定で販売された「ランドクルーザー 70ピックアップ」
前述のとおりハイラックスは国内の現行モデルでは唯一のピックアップトラックですが、2014年に期間限定で販売されたのが、ダブルキャブピックアップトラックの「ランドクルーザー 70ピックアップ」です。
ランドクルーザー 70の誕生30年という節目を迎えたことから、国内市場で復活というかたちで企画され、セミロングボディの4ドアバンと、国内市場では初となるダブルキャブピックアップトラックがラインナップされました。
外観は無骨なスクエアなフォルムで、いかにもクロスカントリー4WD車という佇まいです。とくに70ピックアップは外装の加飾を極力排除してオーバーフェンダーも無く、ホイールもスチール製とワイルドな印象となっていました。
搭載されたエンジンは最高出力231馬力の4リッターV型6気筒ガソリンで、トランスミッションは5速MTのみとされ、中定速域のトルクを重視したエンジンによって2トンを超える車体でも十分なパワーを発揮。
しかし、燃費は6.6km/L(JC08モード)と非常に悪く、燃料タンク容量が130リッターもあり、しかもハイオク仕様となっているなど、これだけでも大いに話題となりました。
駆動方式は誕生当時から継承する、レバーでトランスファーを手動操作するパートタイム4WDを採用。足まわりはフロントがコイルスプリング、リアがリーフスプリングのリジッドアクスルで、乗り心地よりも強度と耐久性を重視していました。
装備は両席エアバッグやマニュアルエアコン、パワーステアリング、パワーウインドウ、キーレスエントリーなど、ひととおりのものは装備されていましたが、走行に関わる電子制御はABSくらいです。
メーカーオプションは前後デフロックに電動ウインチなど、オフロード走行で役に立つ機能的なものに限定されていました。
発売直後は待ち望んでいたユーザーが買い求めたことから、多くのバックオーダーを抱えるほどの人気ぶりでしたが、後に施行される安全面に関わる保安基準に適合できないことから、当初の予定どおり1年間ほどで販売を終了しました。
※ ※ ※
日本ではハイラックス以外にも、アメリカなどから並行輸入のかたちでピックアップトラックが販売されています。
走っている姿を見ると力強さがみなぎってカッコいいのですが、ボディサイズには注意が必要です。
アメリカで販売されているフルサイズのモデルでは、全長は5.7m前後で全幅は2m以上あります。ミドルサイズのモデルでも全長は5m以上で全幅は1.9mほどがスタンダードです。
ハイラックスでも全長5340mm×全幅1855mm×全高1800mmですから、幹線道路や高速道路はまったく問題ありませんが、住宅地を走る場合や出先の駐車場では注意が必要です。
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