GT-R顔!? 「高級セダン計画」白紙か 1300馬力&ド迫力ウイングの新型「HiPhi A」 注目される中国動向
くるまのニュース / 2024年3月2日 8時10分
中国のモビリティ系ベンチャー「ヒューマン・ホライズンズが展開するBEVブランド「HiPhi」は生産設備を6か月間停止させることが判明しました。
■近未来的BEVの中国「HiPhi」、工場6か月停止へ 倒産の危機直面か
中国のBEVブランド「HiPhi」が生産設備を6か月間停止させることが判明しました。
同ブランドは以前より売上が芳しくなく、その行方が不安視されていました。
「HiPhi」は中国のモビリティ系ベンチャー「ヒューマン・ホライズンズ」が展開するBEVブランドです。
どのモデルも近未来的でサイバーな雰囲気のエクステリアデザインが特徴的で、日本でも以前より話題となっていました。
展開するモデルはすべてアルファベット一文字で名付けられ、現在は登場順に「X」「Z」「Y」「A」がラインナップを構成しています。
初のモデル「HiPhi X」は2019年にコンセプトモデルがお披露目され、2020年9月に量産モデルが発表されました。
HiPhi Xは5ドアSUVと位置付けられているものの、高級スーパーカーを意識した低めのフォルムにシャープなフロントマスクは、ほかの純電動SUVと一線を画します。
最高出力590hp、最大トルク820Nmを誇る最上級グレードは80万元(邦貨換算:約1664万円)で販売され、当時としては珍しい超高級BEVのさきがけ的な存在でした。
HiPhi Xに続いて登場したのが5ドアハイパーカーの「HiPhi Z」です。
無骨で機械的なフロントマスクとフォルムが特徴的なこのモデルは最高出力662hp、0-100km/h加速を3.8秒でおこなう驚異的な運動性能を特徴のひとつとしています。
中国本国での価格は51万-63万元(約1060万-1310万円)と、先にリリースされたHiPhi Xに近い価格帯で販売されています。
HiPhiは欧州市場にも意欲的で、まずはドイツとノルウェーで「X」「Z」の2モデルを販売する計画を打ち出しています。
ドイツでの価格はそれぞれ10万9000ユーロ(約1774万円)と10万5000ユーロ(約1709万円)、納車は2023年第3四半期を予定していると発表しましたが、この計画には大幅な遅れが見られています。
これに加え、中国国内における状況もあまり良いとは言えません。
月間販売台数800台以下の月が連続することは珍しくなく、2023年の累計販売台数はたったの4829台でした。
巻き返しを図るべく2023年には廉価モデルの「HiPhi Y」が投入されましたが、ブランドを立て直すほどの起爆剤とはなりませんでした。
HiPhiは生産を自社ではなく、韓国「キア」の車種を中国で生産する「悦達キア(中国語名:悦達起亜)」が請け負っています。
生産工場は江蘇省塩城市にあり、2019年までは「東風悦達キア(現・悦達キア)」の第一工場として「スポーテージ」「ソウル」「セラトー」などのキア車種を生産していました。
2021年11月にはHiPhi用製造ラインとして稼働を開始、最初のモデル「X」がラインオフしました。
そして2024年2月19日、HiPhiは唯一の工場を6か月間停止させることが明らかとなります。
加えて、自社従業員お2024年1月分の給料も2月の終わりに支払われることが判明、企業としてかなり危うい状況となっています。
2024年に入り、HiPhiは従業員に対する2023年末のボーナス支給の中止や役員給料の削減、そして成都や広州にある販売拠点の閉店など暗い話題が続いています。
HiPhiの生産工場自体は年間15万台の生産能力を持つものの、ここ3年間の販売台数は毎年5000台以下となっており、この件が明るみになる以前よりその先行きは不安視されていました。
2023年11月にはかつての「グンペルト・シュポルトヴァーゲン(現アポロ・アウトモビリ)」と共同で生み出した「HiPhi A」をお披露目したばかりです。
HiPhi AはHiPhi Zと同じボディを共有していますが、巨大なリアウィングやリアディフューザー、フロントリップ、サイドステップはHiPhi Aオリジナルの設計です。
車名の「A」は「アポロ」の頭文字から取られており、お披露目された広州モーターショー2023のブースではアポロのハイパーカー「インテンサ エモツィオーネ(IE)」も一緒に展示されました。
HiPhi AはHiPhi自社開発の高電圧800 Vプラットフォームをベースに、駆動用モータを前1つ・後2つに搭載します。
モーター回転数は最大2万2000rpmを誇り、最高出力1287hp、最大トルク1万3800 Nm、最高速度290km/h以上、そして0-100km/h加速をわずか2秒のモンスターマシンです。
それだけでなく、前後50:50に近い重量配分や後輪操舵、カーボンセラミックブレーキ、トルクベクタリングなど、純電動ハイパーカーにふさわしい特徴を兼ね備えています。
発表された当初、HiPhi Aの製造と納車は2025年第1四半期ごろを予定していると案内されました。
ですが、HiPhiが倒産の危機に直面している今、HiPhi Aの実現度は限りなくゼロに近い状態です。
一方、HiPhiのトップを務めるDing Lei氏が国営自動車メーカー「長安汽車」の本社を訪問したと中国のネット上では話題となっています。
長安汽車のHiPhi買収に向けた具体的な話し合いがおこなわれたとも噂されており、HiPhi側もまだ完全に諦めた様子ではないことが伺えます。
工場を停止させた今、HiPhiは既存のユーザに対するアフターサポートをなんとか継続させています。
ですが、HiPhi独自の充電網に関わる充電サービスや新規充電器の設置、そして充電アプリは停止状態となっており、利用者は不便を強いられています。
果たしてHiPhiに再建の手立ては残されているのか、はたまた有象無象の倒産メーカーとともに負の歴史を刻むのか、今後の動向に注目が集まります。
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