誕生から30年!ホンダアクセス「モデューロ」のアルミホイール・エアロ・サスペンションの作り込み具合が半端ない
くるまのニュース / 2024年4月3日 20時40分
ホンダ純正アクセサリーのブランド「モデューロ」が2024年に誕生30周年を迎えました。モデューロ30年の歴史やアクセサリー開発秘話などが紹介された「Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.1」の様子をリポートします。
■1994年に誕生し2024年に誕生30周年を迎えた「モデューロ」の歴史
「Modulo(モデューロ)」といえばホンダ純正アクセサリーのブランドです。現在は、アルミホイール、サスペンション、エアロパーツをこのモデューロブランドで展開しています。
そのモデューロが誕生して今年で30年を迎えたということで、メディア向けに「Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.1」がモビリティリゾートもてぎ(栃木県茂木町)で開催され、モデューロ30年の歴史やアクセサリー開発秘話などが紹介されました。
モデューロの誕生は今から30年前の1994年、2代目VIGOR(ビガー)のマイナーチェンジでアルミホイールを設定したのが始まりです。
当時4種類のアルミホイールが用意され、今回はその中から1つが会場に用意されました。当時はスチールホイールにキャップというホイールが多い中、15インチのアルミホイールに交換するだけでも価値のある時代だったそうです。
アルミホイールのトレンドを含みつつ性能や品質を確保したモデルとなっており、2ピースモデルというのも時代を感じさせるものです。
アルミホイールは1990年代から2000年代初めまで、デザインと品質を両立させながら、トレンドも取り入れたホイールを車種ごとに設定していきました。
■独自の技術力が凝縮された「MR-R01」開発
2015年にはアルミホイールの常識を疑って開発された、ホンダアクセス独自の技術力が凝縮された、S660用のアルミホイールである「MR-R01」を開発します。
1994年に初めてモデューロの名称がつけられた2代目VIGOR(ビガー)のマイナーチェンジで採用された2ピースホイール(左)とS660用の「MR-R01」(右)
アルミホイールはただ高剛性・軽量化だけを目指すのではなく、リム部とスポーク部の剛性バランスを最適化し、“しならせる”ことで、接地面圧を高めタイヤの性能を使い切る、というホイールを作り上げ、以降ホンダアクセスが展開する純正コンプリートカーである「モデューロX」のキーテクノロジーになる製品となりました。
サスペンションやエアロパーツは、1996年に登場した5代目プレリュード用として登場し、当時としては珍しかったローダウンサスペンション、大型の門型リアハイウイングやフロントスポイラー、ボンネットスポイラーなどのエアロパーツが設定されます。
この時はまだモデューロブランドではありませんでしたが、現在のエアロにも通じる、風洞と実走の試験を行いしっかりした効果を見いだしており、現在につながる開発思想がこの時点で出来上がっていることに驚きます。
その後、エアロパーツはこのプレリュード用を開発したのをきっかけにスポーツカーだけでなく、1999年のエアロブームの際にモデューロブランドの仲間入りをし、初代ステップワゴンやS-MX、オデッセイやアコードワゴンなどのエアロを作り上げます。
また、スポーツカー以外にファミリーカーに設定されるこの流れはエアロだけでなくサスペンションも同じで、当初より、あらゆる路面環境下でバランス良く設置する、追従性の良いセッティング。4輪で舵を切る感覚で意のままのコーナリングと、しなやかな乗り心地の良さを両立させています。
■「S2000」や「NSX」も登場!「ヴェゼル」でのホイール比較試乗も
なかでも1999年に登場したS2000はノーマルの状態で完成されたエアロダイナミクスだったため、エアロパーツは必要ないとされていましたが、モデューロの開発部隊は、実効性のある空力効果を持たせたエアロパーツの開発に着手。見事にノーマルから一つ先に行けるエアロを完成させました。
2008年、シビックに装着したエアロで、独自のエアロダイナミクス開発思想の“実効空力”を提唱します。見た目と空力性能を高次元で両立し、前後のリフトバランスをエアロパーツで整え、風洞実験だけでなく実走を重視した開発手法を確立させました。
NSX、アコード、インサイト、CR-Z、S660、フィット、ヴェゼル、S2000などありとあらゆる車両のエアロパーツにはこの思想が盛り込まれています。
S2000のデビュー当時に用意されていたモデューロパーツが「再現」装着されたデモカーも用意されていた
また「Modulo 30th Anniversary EXPO Vol.1」では、4つのタイヤへ均等に接地荷重を与えることで、どんな路面環境でも安定感のある意のままの走りを実現させるという、乗り味のレシピも公開されました。
・アルミホイールはタイヤを使い切るための適切な剛性バランスを追求
・サスペンションはいかなる路面にもバランス良く接地する追従性
・エアロパーツはリフトバランスを調整し、均等な接地荷重を与え、アルミホイールとサスペンションのポテンシャルを最大限引き出す
といった三位一体を作り上げ、さらなる理想のバランスを追求したのがモデューロXシリーズにつながっていきます。
モデューロ体験試乗として、デビュー当時を再現したエアロとスポーツサスペンション、マフラーを装着したS2000と、2011年に発売されたトランクスポイラーとスポーツサスペンションを装着したNSXが用意されていました。
両車ともに相当の年数がたっているにもかかわらず、そのしなやかな足回りと空力性能を感じられます。ボディの小ささや視界の広さなどに時代の流れを感じますが、スタイリングの良さは年数がたっても変わりないものです。
■ホイール「だけ」で、バンパー「だけ」で、走りがここまで変わる!
ホイールの進化として、2024年春発売予定のヴェゼルのマイナーチェンジモデルに、Sports Styleが設定され、その足回りには新作の18インチアルミホイール「MS-050」が装着されています。
ヴェゼル専用に開発されており、リム部とスポーク部のバランスを最適化し、しならせてタイヤの接地面圧を高めるようになっています。
新作のヴェゼル用18インチアルミホイール「MS-050」(右)。車両もタイヤ銘柄も全く同じ条件で、標準ホイール(左)との比較試乗をおこなった
スポークの太さや厚さなど、デザインとの兼ね合いのなか導き出されたホイールは、マイナーチェンジ前のヴェゼルの純正ホイールとの比較試乗においても、剛性感の高さを感じられ、コーナリング中にももう一息ステアリングを切り込める余裕、コーナリング中の段差乗り越えの優しさなど純正にはない乗り味を体感できます。
アルミホイールだけでこんなにも操作性と安定性が変わるのかと感激しました。
■“泥臭い地道な作業”が生んだ操作性を体感
モデューロの代名詞にもなっている実効空力は、その名の通り実際の空力の効力を感じられるエアロです。現在の優れた解析設備ならば、コンピューターの中で、デザイナーが描いたスケッチの通り作り上げればそれなりのエアロが完成するはずです。
しかしモデューロ開発部隊はテストコースに赴き、まずこの「ぬりかべ」と呼ばれる、空力の悪影響しか感じないパーツで、まず空力の大事さを体で感じます。
その後デザインスケッチからクレイモデルをその場で削り、すぐにコースに飛び出し実際に走って効果を試し、また造形を煮詰めてテスト走行を繰り返すという泥臭い地道な作業を行います。これは開発エンジニアだけでなく、デザイナーやモデラー、関係する全員が同じ体験をして突き詰めていきます。
「ぬりかべパンパ―」が装着された開発車両。ここからデザイナーと共に開発が進められていく
実際にぬりかべ仕様に仕立てられたS660でコースを走ると、空気の重さを感じ、コーナリングもアンダーステアとなり怖さを感じます。
次にノーマルバンパーになると安定感が増し、これで良いのでは、と感じられます。
しかしそこから実効空力バンパーのモデューロXに乗り換えると、ハンドリングが安定し、より快適な操作性を手に入れられます。さらにリアスポイラーもモデューロX仕様となっていることもあり、前後バランスが整うと曲がりやすくなります。時速30km/h程度の定常円旋回とJターンのコースですが確かにその効果を感じられます。実効空力の名はダテではなかったです。
※ ※ ※
30年という長きにわたって開発を続けることによって、多くの知見がたまり、この車両にはこういう足回りやエアロが合うだろうということは、ある程度分かるようになってきます。それでも毎回エアロを作る時には開発者やデザイナー全員でその効果を確かめながら作り上げています。
2023年東京オートサロンで公開されたシビックe:HEVスポーツアクセサリーコンセプトの「テールゲートスポイラー」も現在開発中で、2024年中に発売予定だと言います。シビック用に前後バランスを考えた商品となっているそうで、その登場にも期待できます。
メーカー直系だからこそ、品質と性能をバランス良く考え、さらに装着して効果がしっかり感じられるものを作り上げる。30年の歩みにホンダアクセスの底力を感じました。
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