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認知症の病因「タウタンパク質」の病変を抑制 〜Mark4遺伝子欠損がマウスのタウオパチー症状を改善~

共同通信PRワイヤー / 2024年4月22日 14時0分

発症過程で起きるタウの変化の一つに、過剰なリン酸化があります。タウは多くの部位で、様々な酵素によってリン酸化を受けますが、なかでもMicrotubule affinity regulating kinase 4 (MARK4)は、タウ病変と共局在し、疾患脳で活性が増加していることや、その変異がアルツハイマー病のリスクを増加させることなどから、アルツハイマー病でのタウ病変に関与するのではないかと考えられてきました。また、ショウジョウバエを使った実験では、MARK4の活性が増加すると、タウによる神経細胞死が悪化することが報告されていました。そこで今回の研究では、ヒトと同じ哺乳類であるマウスで、MARK4とタウ病変の関係を調べました。


4.研究の詳細

ヒトで神経変性疾患の原因となる変異をもつタウを神経細胞に発現したマウスでは、認知機能が低下し、寿命が短縮します。また脳の神経細胞では、タウの凝集、リン酸化タウの蓄積が見られ、神経細胞同士のコネクション(シナプス)が失われるのが観察されます。このタウオパチーマウスを、MARK4をコードする遺伝子Mark4を欠損したマウスと掛け合わせ、MARK4の有無でタウオパチーマウスの症状が変化するかを、行動、生化学的、組織学的解析で調べました。

その結果、Mark4欠損マウスでは、Mark4遺伝子を持つマウスと比べて、死亡率と認知機能が改善していることがわかりました。脳を生化学的に調べると、Mark4遺伝子欠損マウスではリン酸化タウが減少し、また凝集したタウを標識するチオフラビンSのシグナルが低下していました。Mark4遺伝子欠損マウスの神経細胞は、タウを発現させてもより多くのシナプスを維持していました。また、タウの発現によって、脳の免疫細胞であるグリアが活性化し炎症を起こしますが、Mark4遺伝子欠損マウスでは、グリアの一種アストロサイトの活性化が抑制されていました。アストロサイトの活性化は加齢によっても起きますが、Mark4遺伝子欠損マウスの脳では、老化によるアストロサイトの活性化も抑制されていました。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202404199722-O1-8fI7VZyV

5.研究の意義と波及効果

これらの結果から、MARK4がタウオパチーの発症機構に寄与していることが明らかになり、またMARK4の阻害がタウオパチーを伴う認知症の治療戦略となる可能性が示されました。Mark4遺伝子欠損マウスは正常に発育していたため、その阻害によって甚大な副作用は起きないことが示唆されます。MARK4を阻害する薬剤の開発により、アルツハイマー病やその他のタウ病変を伴う疾患の、根本的な治療薬の開発が期待できます。

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