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物質中の創発磁気モノポールが示す新規な集団振動現象を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年6月3日 14時0分


(5)今後の課題

本研究は、磁気ヘッジホッグ格子が光やマイクロ波に応答して示す新しい集団振動現象を実験に先駆けて理論的に発見し、その性質を明らかにしました。今後、MnSi1-xGexやSrFeO3などの実際の物質において、これらの結果を実験的に検証することが取り組むべき課題です。また、磁気ヘッジホッグの振動現象により発生する創発電場の性質を明らかにし、それに由来する興味深い物性現象や、それを活用した新しい物質機能を開拓することも重要な課題です。


(6)研究者のコメント

本研究成果は、物質中の創発磁気モノポールに由来する固有の現象とその背後にある微視的メカニズムを明らかにしたという点で意義深いものです。本研究を皮切りに、物質中の創発磁気モノポールの性質や、それに由来する物性現象および物質機能の研究が今後活発に行われることを期待しています。


(7)用語解説

※1 磁気モノポール

磁石のN極とS極のどちらか一方の性質のみを持つ粒子のこと。


※2 磁気ヘッジホッグ、アンチ磁気ヘッジホッグ

ある種の磁性体中に現れる図のような磁気モーメントの3次元配列。これらの磁気構造は交換相互作用を通じて伝導電子に働く仮想的な磁場(創発磁場)を生み出す。局所的な創発磁場の空間分布は、磁気ヘッジホッグでは湧き出し、アンチ磁気ヘッジホッグでは吸い込みになっており、それぞれ磁気モノポールとアンチ磁気モノポールに対応する。


※3 創発電磁場(創発磁場、創発電場)

金属磁性体中を動き回る伝導電子のスピンは、原子上に局在する磁気モーメントと相互作用し、各原子上で磁気モーメントと平行になろうとする。これにより伝導電子の波動関数はある種の位相を獲得するが、量子力学の枠組みから、その位相の積分値に対応する実効的な電磁場が伝導電子に作用することが分かる。この実効的な電場・磁場のことを創発電場・創発磁場と呼ぶ。特に創発磁場は近接する磁気モーメントが張る立体角の和に比例する。立体角の和が+4p(-4p)である磁気ヘッジホッグ(アンチ磁気ヘッジホッグ)は一つの磁束量子とみなすことができる。


※4 磁気ヘッジホッグ格子

磁気ヘッジホッグとアンチ磁気ヘッジホッグが空間周期的に配列した磁化構造のこと。その磁化配列は数学的には複数の螺旋状の磁化配列の重ね合わせで表現することができる。MnSi1-xGexやSrFeO3で観測されている磁気ヘッジホッグ格子は4つの磁気螺旋の重ね合わせで表現されるので4重波数磁気ヘッジホッグ格子、MnGeで観測されている磁気ヘッジホッグ格子は3つの磁気螺旋の重ね合わせで表現されるので3重波数磁気ヘッジホッグ格子と呼ばれる。

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