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糖鎖伸長のブレーキ役を発見

共同通信PRワイヤー / 2024年6月5日 15時1分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406051783-O5-23o34rlS


【研究成果】

 木塚教授らは、B4GALNT3の欠損マウスでスクレロスチンの血中濃度が上昇するという事実から、通常はスクレロスチンというタンパク質の糖鎖にはB4GALNT3の作用によりLDNが付いていて、糖鎖がシアル酸まで伸びていない、つまりLDNがつくと糖鎖が伸びにくくなるのではないか、と仮説を立てました(図2)。逆にB4GALNT3が欠損すると、LDNの代わりにLacNAcを持った糖鎖が増え、さらにそこから糖鎖が伸びてシアル酸が付くことで、タンパク質の血中における安定性が増すのではないかと考えました。

 そこで、培養細胞にB4GALNT3を導入して、細胞表面に存在するシアル酸を持った糖鎖を検出しました。その結果、B4GALNT3を導入した培養細胞(図3A、水色)では、B4GALNT3を持たない培養細胞(図3A、赤色)に比べて、シアル酸の量が低下していました。 


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406051783-O4-1Yg4IClp

図3.(A) B4GALNT3を持たないHEK293細胞(赤色)に、B4GALNT3を導入した(水色)。細胞表面のシアル酸と結合する試薬(SSA)を用い、フローサイトメトリーという方法でシアル酸を検出した。灰色は、B4GALNT3を導入した細胞を使い、SSAを使わずに同じ実験をしたコントロール。細胞内のB4GALNT3を強制的に多くすることで、細胞表面のシアル酸含有糖鎖の量が減少した。(B) LacNAcを持つN型糖鎖(上)と、LDNを持つN型糖鎖(下)を、試験管の中で、シアル酸を付加する酵素(ST3GAL4)と混合した。反応後、HPLCと呼ばれる方法で糖鎖を分離した。LacNAcを持つ糖鎖を用いた場合には、シアル酸が付いた糖鎖が生成された一方、LDNを持つ糖鎖を用いた場合では、シアル酸が付いた糖鎖は生成されなかった。


 次に、実際にLDNを持つ糖鎖にシアル酸が付かなくなるかを確かめるため、LacNAcを持つ糖鎖とLDNを持つ糖鎖をそれぞれ調製し、糖鎖の末端にシアル酸を付加する酵素の一つ(ST3GAL4 11))と混合して、糖鎖にシアル酸が付くかどうかを調べました。その結果、LacNAcを持つ糖鎖では、シアル酸が末端に付加されたのに対して、LDNを持つ糖鎖では、シアル酸がほとんど付加されませんでした(図3B)。これらの結果から、LDNが糖鎖に付くと、シアル酸が付かなくなり、糖鎖が伸びなくなることが明らかになりました。このことから、B4GALNT3は糖鎖の伸長を制御することで血中のタンパク質の寿命を制御する、重要な糖転移酵素であることを明らかにしました。

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