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尿に極微量含まれる子宮頸がんウイルスタンパク質の検出に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年6月25日 14時0分

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406242627-O2-6z9p4kF1】 図1.本研究成果の概要


(1)これまでの研究で分かっていたこと

 日本では年間に約1.1万人が子宮頸がん※1にかかり、約2,900人が亡くなっています。子宮頸がんの最大病因はヒトパピローマウイルス(HPV)※2の感染であり、すなわちこのがんは性感染症です。感染機会が多いのは性体験を始めた直後です。子宮頸がんに移行する前の状態(前がん病変)※3では、多くの場合は自然治癒するため、感染した自覚がありません。また、子宮頸がんの前がん状態は検診とワクチンとで予防できることが分かっているものの、20代・30代の女性にとって、検診は、恥ずかしい、時間がない、病院に行くのが大変、性行為が監視されているようだといったさまざまな理由でハードルが高く、テレビなどを通した検診の啓蒙があっても、なかなか検診受診率の向上が見られていないのが現状です。


 子宮頸がん、または前がん状態の患者の子宮頸部細胞診では、DNAウイルスであるHPVのDNAまたはmRNAが含まれることは分かっていました。DNAやmRNAなどの核酸はPCR法の普及により簡単に高感度で測定できます。しかし、実際にウイルスが存在してもがんの悪化のために働くのはそれがタンパク質に翻訳されてからであるため、タンパク質の量的変化を調べることが望まれていました。さらには、患者の尿中にもHPV mRNAが混入していることも最近注目され始めていましたが、尿中のHPVタンパク質は極めて微量であり、ほぼその検出は不可能でした。


(2)今回の研究で実現したこと

 早稲田大学の伊藤らは、これまでに極微量のタンパク質を超高感度で簡易に測定する方法を開発してきました。これは超高感度タンパク質測定法(TN-cyclonTM)と呼ばれており(図2)※4、従来のサンドイッチELISAと酵素サイクリング法※5とを組み合わせたもので、標的タンパク質を検出するシグナルを増幅して、その結果、極微量の標的タンパク質を検出・定量しようとするものです。今回、この方法を患者尿中のタンパク質の検出に適用しました。


 尿中に存在する、標的であるHPVタンパク質は極めて微量であると予想されたため、その測定方法に磨きをかけました。具体的には、感染後がん化するリスクの高いHPV16型のE7タンパク質※6に標的を絞ったところ、市販のELISAキットと比較して、約100倍の高感度である、0.13 pg /mLという極めて高感度での検出が可能であるところまで追い込めました(図3)。すなわち、これまでに例を見ない超高感度タンパク質測定系を確立し、E7タンパク質を見逃さないレベルになっています。ちなみにHPVのE7タンパク質はHPV DNAの複製を可能にしており、がんの悪化に関与しています。

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