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尿に極微量含まれる子宮頸がんウイルスタンパク質の検出に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年6月25日 14時0分


 本研究グループの結果では、E7タンパク質の存在を、HPV16陽性で前がん状態が初期のCIN1患者の尿検体では80%で、CIN2患者の尿検体では71%で、およびCIN3患者の尿検体では38%で、確認できました。CINが上がる、すなわちがん状態に近くなると、なぜE7タンパク質が減るのかは、今後の研究課題となっています。


 またもう一つのポイントは、尿を検体として使うことで、非侵襲的※7な検診への道を拓くことも重要でした。細胞診はブラシなどで、子宮の入り口を擦って、細胞を採取し、その後、細胞の形を観察するものです。個人的な差はありますが、痛みが伴います。何よりも恥ずかしさがあります。従って、尿で検診が受けられるのであれば、女性にとって大きな助けとなります。


(3)研究の波及効果や社会的影響

 今回の検出方法の開発によって、子宮頸がんの前がん段階での診断の可能性が示されました。将来的には、自身で尿を採取し、医療機関や検査センターに送付すれば、検診を受けられる道が拓かれたと言えます。女性にとって、病院に行って医師に診てもらう検診よりも、自身で尿を採取し提出することのほうが抵抗は少なく、このように検診のハードルが下がれば、子宮頸がん撲滅の糸口となると期待しています。


(4)課題、今後の展望

 なぜHPVに感染した細胞が尿に含まれるのかは、まだ多くの謎が残されています。我々は膣口から出てきたおりものが、尿に混入するものと考えており、従って、ある確率で、尿からHPVのタンパク質が検出されない検体もあるものと考えています。


 さらには上述した通り、前がん状態ががん状態に近くなるとE7タンパク質の発見率が減ります。これはE7タンパク質の働きの観点から今後解明すべき問題点です。そのような意味でも、今回の研究では、HPV16型のE7タンパク質のみの測定を行いましたが、今後は、やはり子宮頸がんの悪化に影響を及ぼす、E6タンパク質の測定も試みる予定です。しかしながら、このE6タンパク質を測定するためには、それに対する良い抗体を作製するところから始めなければなりません。さらには、患者検体数を増やすことにも努めます。これら両方のことを、金沢医科大学の笹川寿之教授とともに進めてまいります。


(5)研究者のコメント

 子宮頸がんは、若いうちからの検診とワクチン接種で予防できます。しかし若い女性にとって、検診のハードルは非常に高く、そのハードルを下げることが切に望まれています。本研究がそのハードルの低下に一役買えると信じています。

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