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尿に極微量含まれる子宮頸がんウイルスタンパク質の検出に成功

共同通信PRワイヤー / 2024年6月25日 14時0分

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406242627-O3-x2r0Q310】 図2.超高感度タンパク質測定法(TN-cyclonTM) 上部のサンドイッチELISA法と下部の酵素サイクリング法とが組み合わさっています。サンドイッチELISA法は2種類の抗体で標的タンパク質であるE7タンパク質を挟み込んで検出します。そこに基質Aを加えて、酵素Aと反応させます。これだけですと、超高感度というには感度不足です。そこで、酵素Aと反応した基質Bは、酵素サイクリング法で増幅されるために利用します。今度は酵素Bが基質Bに対して酸化還元反応繰り返し(サイクリングし)、補酵素の一つとして入れてある発色基質が発色していきます。つまり、検出するシグナルを増幅しています。この発色を吸光度測定することで、もとの標的タンパク質であるE7タンパク質を超高感度で検出することが可能となります。


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202406242627-O4-3U9BzI2U】 図3.HPV16 E7タンパク質の超高感度測定。検出限界は0.13 pg /mLを得ました。

ここに示されているのは検量線と呼ばれるものです。E7タンパク質を含まないときのシグナル値(これはブランク値と呼ばれます)との差をどこで認めることが出来るかを統計的に計算すると、0.13 pg/mLという検出限界が得られます。


 さて、がん化する前の前がん状態で、HPVに感染している患者を発見することが重要です。そこで前がん状態の患者(45名)に着目して尿を収集しました。子宮頸がんの状態か、前がん状態なのかは、細胞診の情報を元に決めました。さらにはDNA検査を行い、HPVの型を決めました。この型には高リスク型のHPV16が含まれており、今回の実験ではHPV16とその関連型に特に着目しています。


 このように、細胞診による細胞の形の異常とDNA検査によるHPVの型の決定を行ってから、前がん状態の患者尿からのE7タンパク質検出を試みました。興味深い結果として、細胞の形の異常と、DNA型の検出と、さらにTN-cyclonTMによるE7タンパク質の検出との3者には、きれいな相関があるわけではないことが分かりました。これは、HPVが存在するかしないか(つまりDNAの有る無し)と、子宮頸部の細胞に異形が現れるか現れないか、さらには、HPVのタンパク質の存在の有無とが、必ずしも一致しないということです。タンパク質はウイルスそのものががんを悪化させるために必要ですので、タンパク質の存在はウイルスのいわば活性度を表しています。それが発見できないということは、ウイルスが活動を休止している、すなわち潜伏感染などの発がん活性の変動を見ている、と考えています。これはとても重要で、ウイルスは存在そのものも大事ではありますが、同時にその働きを注視すべきなのです。まさにタンパク質の測定がそれを表しています。

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