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革新的な触媒を用いた環境に優しいフロー合成技術の開発

共同通信PRワイヤー / 2024年6月27日 14時0分


今回新たに開発した手法では、クリーンな原料であるほぼ常圧の水素を還元剤として用いることで、原料(1,4-ジヒドロキシアントラキノン)から触媒的にほぼ純粋(純度>99%)なロイコキニザリンを合成できます。また、その過程で原子効率100%を実現する環境に優しい有機合成法です。固体触媒を充填したカラムに、水素と原料を含む溶液を同時に通過させることで、連続的にロイコキニザリンが得られます(図1-②)。また、新たに開発した固体触媒中の白金とニッケルからなる二元金属ナノ粒子構造が、ロイコキニザリン合成反応における、高い活性と選択性の発現に重要であることを明らかにしました。複数の金属種から構成される多元金属ナノ粒子では、異種の金属種が電子的に影響を及ぼし合うことでナノ粒子触媒表面の活性が変化するリガンド効果と、異なる金属種がそれぞれ異なる基質を活性化して特異な触媒効果を発揮するアンサンブル効果が知られています(参考文献1~5)。さまざまな分析の結果、今回新たに開発した触媒中の白金は主に0価であるのに対し、ニッケルは酸化物の状態で、触媒担体中の近接場に存在していることがわかりました。このような異なる酸化状態にある二種類の金属種が電子的に影響を及ぼし合ったり、協奏的に作用したりすることで、高い活性と選択性を引き出したと考えられます。本触媒は160時間以上にわたり、連続生産フロープロセスで使用しても高い活性を維持し、触媒回転速度は1時間あたり128回に達しました。


ロイコキニザリンはさまざまな試薬と反応させることで、顔料染料、医薬品、エネルギー材料など多様な機能性化学品の原料となるアントラキノン化合物へ変換することができます。そこで、今回開発したロイコキニザリンの連続生産プロセスを、ロイコキニザリンのアントラキノン化合物への変換反応と連結することで、多段階反応を実現する連続生産フロープロセスの開発を目指しました。前段のロイコキニザリンの連続生産フロープロセスでは、その原料の低溶解性ゆえ、低濃度条件が必要でした。しかし、後段のロイコキニザリンをアントラキノン化合物へ変換するプロセスは、二分子反応であるため高濃度、高温条件が必要でした。そこで、低沸点溶媒中で合成した低濃度のロイコキニザリン溶液から低沸点溶媒を留去して、高沸点溶媒による高濃度溶液に連続的に置換可能な、連続分離・回収モジュールを新たに開発しました。本連続分離・回収モジュールは、これら二つの連続生産フロープロセスを連結することができ、機能性化学品であるアントラキノン化合物を最大90%を超える高収率で合成可能なことを実証しました(図2)。さらに、この連続分離・回収モジュールは、ほぼ純粋な低沸点溶媒を回収可能で、前段のロイコキニザリンの連続生産フロープロセスにリサイクルできました。

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