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電子部品の品質管理をシームレスに実現する計測器

共同通信PRワイヤー / 2024年7月5日 14時0分


この研究成果の詳細は、2024年7月6日~11日(現地時間)に米国コロラド州デンバーで開催される国際会議「2024 Conference on Precision Electromagnetic Measurements」において発表されます。また、開発されたDMMは近日中にエーディーシーから発売されます。


下線部は【用語解説】参照


開発の社会的背景

先進電子デバイスに使用されている電子部品は厳格な品質管理のもと製造されており、高性能な測定器を用いた検査工程は電子部品の品質維持のために欠かせません。半導体をはじめとするこれらの電子部品は低電圧化・低消費電力化が進んでおり、測定の精度が得られにくい低い電圧での検査が必要です。チップコンデンサーやチップ抵抗はスマートフォン1台におよそ千個内蔵されているほど多く用いられており、全数を検査するためには短時間で測定ができる高速さも求められます。電子部品の国際的な取引のためには、検査工程において用いられる測定器が、国家標準とつながる上位標準を用いて校正されている、つまり、計量トレーサビリティが確保されている必要があります。


計量トレーサビリティを確保するため、測定に使われる計測器は定められた周期ごとに校正を受けなければなりません。DMMの場合、基準電圧源は装置に内蔵されているため、校正を受ける際には、DMM本体を現場から持ち出す必要があります。校正を受けている期間は代替のDMMを使用するか、生産工程の一部を停止しなければなりません。これは、生産コストの増加または生産性の低下につながりかねませんでした。また、校正を受けるためには、DMMの電源を切って輸送する必要があるため、その際の基準電圧源の電源喪失や、DMM本体が受ける振動や環境変化によって、DMMの精度劣化や故障リスクを増大させてしまうというジレンマもありました。


研究の経緯

産総研は、長さや質量、その他の各種物理量の国家標準を維持・供給することで、計量トレーサビリティに貢献しています。電圧については、ジョセフソン電圧標準を直流電圧の国家標準として維持しており、開発品や製品の品質管理が必要な現場における測定器類に対し、校正機関を通じて、標準供給を行っています。


標準の供給、つまり、事業者やユーザーが保有する標準器や測定器に対する校正の実施は、計量トレーサビリティ体系の維持に欠かせません。一方で、生産工程の一部に測定器を導入している事業者にとって、校正を受けることは運用面あるいはコスト面で少なからぬ負担が生じます。産総研とエーディーシーは、現場からの要望を受けて、より負担の少ない効率的な計量トレーサビリティ確保のための手法を検討してきました。

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