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電子部品の品質管理をシームレスに実現する計測器

共同通信PRワイヤー / 2024年7月5日 14時0分


産総研とエーディーシーは、DMMに内蔵されている基準電圧源をモジュール化して脱着可能な新しい機構を開発し、特許を取得しました。基準電圧源で用いられるツェナーダイオード素子の出力は温度によって変化するため、高い出力安定度を得るためには温度制御されたオーブン内で一定温度に保つ必要があります。また、低ノイズな電源を実現しようとすると、回路サイズが大きくなる傾向があります。われわれは、断熱設計や温度制御方式、電源回路の工夫などにより、基準電圧源モジュールをさらに小型化し、高い精度を保ったまま脱着可能にする技術の開発に成功しました。エーディーシーが断熱性能の改善や省電力化、ノイズ低減、A/D変換器の線形性の向上、産総研がジョセフソン電圧標準を用いた高精度評価などに取り組みました。


なお、本研究開発は、一般社団法人 首都圏産業活性化協会を事業管理機関として受託した関東経済産業局 戦略的基盤技術高度化支援事業「脱着可能な小型基準電圧源を用いた校正(運用)コストを低減させる高精度電子計測器の研究開発」(2019~2021年度)による支援を受けています。


研究の内容

まず、基準電圧源脱着型DMMのプロトタイプを作製し、その特性評価を行いました。基準電圧源モジュールのサイズは、5.4 cm×5.4 cm×8.6 cmと、手のひらに乗る程度の大きさです。モジュールはバッテリを内蔵しており、DMM本体から取り外しても約30分間は通電状態を保てます。校正に出す際には、輸送用のバッテリボックスに装着すれば約5日間のバッテリ駆動が可能で、AC電源に接続しての連続通電も可能です。校正済みの基準電圧源モジュールをDMM本体に装着して、校正コマンドを実行することでDMMの電圧校正が完了します。DMMとしての基本的な機能は従来の8.5桁DMMと同様で、基準電圧源モジュールを外した状態でも、DMMに内蔵された別の基準電圧源により短期安定度が担保されるため、DMMを通常通り使用することが可能です。なお、バッテリボックスに装着した状態の基準電圧源モジュールは、高精度な直流標準電圧発生器としても利用可能です。


試作したプロトタイプの性能を確認するため、国家標準であるジョセフソン電圧標準を用いた評価を実施しました。評価項目は、DMMの重要な性能指標の一つであるゲイン誤差の経時変化や環境依存性と、基準電圧源モジュール単体の出力安定度とに大きく分けられます。

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