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ALT値が示す新たな脂肪性肝疾患リスク

共同通信PRワイヤー / 2024年7月22日 14時30分

 三輪貴生医師らの研究により、年齢中央値46歳の大学職員において28%(男性38%、女性18%)にMASLDがあり、ALTが有用な指標となることが示唆されました。またMASLDを特定するためのカットオフ値としてALT 29 IU/Lが算出され、日本肝臓学会の提唱する「奈良宣言2023」においてALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することの推奨は健康診断におけるMASLDの観点からも妥当であることが明らかとなりました。

 本研究成果は、日本時間2024年6月17日にJGH Open誌で発表されました。


研究背景

 肥満人口の増加に伴い、代謝異常関連脂肪性肝疾患(metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease; MASLD)は世界的に増加傾向であり、本邦でも増加することが見込まれています。また日本肝臓学会は肝疾患の早期発見・早期治療を目的として「奈良宣言2023」を提唱し、ALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することを勧めています。しかし、健康診断の場において、奈良宣言における提言がMASLDの拾い上げの観点で有用かは十分に検討されていません。本研究では、職域健康診断受診者を対象としてMASLDの実態とALTを含むバイオマーカーとの関連について検討しました。


研究成果

  本研究では大学職員健康診断を受診した627名を対象とし、通常の健康診断項目に加えて腹部超音波検査を行い、MASLDの実態とALTを含むバイオマーカーとの関連について検討しました。参加者の年齢中央値は46歳、body mass index(BMI)中央値は23 kg/m2でした。腹部超音波検査と健康診断結果により、28% (男性38%、女性18%) がMASLDと判定されました。MASLDを有する受診者ではそうでない受診者と比較して有意にALT値が高いことが明らかとなりました(27 vs. 15; P < 0.001)。RCS解析ではALT値の上昇とともにMASLDのオッズ比が上昇することが明らかであり、男性および女性のサブグループにおいても同様の結果でした(図1)。ROC解析では、MASLDに対するALT値のAUCは、全体で0.79、男性で0.81、女性で0.69であり、MASLDに対する特異度が90%以上となるALTのカットオフ値は29 IU/Lが算出されました。したがって奈良宣言の提唱するALT値が30以上の受診者では、MASLDのリスクが高く、MASLDの精査あるいは食事療法・運動療法を含む生活習慣改善を要する対象者であることが示唆されました。

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