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ALT値が示す新たな脂肪性肝疾患リスク

共同通信PRワイヤー / 2024年7月22日 14時30分


今後の展開

 本研究により、職域健康診断における奈良宣言の有用性が明らかとなりました。今後ALTを指標としたMASLDの把握が、食生活あるいは運動習慣の是正につながり、脂肪性肝疾患の改善と健康寿命の延長に寄与することが期待されます。


用語解説

1) 奈良宣言2023:

 「奈良宣言2023」は、肝臓病の早期発見と治療を目的として、日本肝臓学会が発表した取り組みである。特に、一般的な健康診断で測定されるalanine transaminase (ALT)値が30を超えた場合、肝疾患のリスクがあるため、かかりつけ医に受診することを推奨している。この取り組みは、慢性肝疾患の早期発見と治療を通じて、肝臓病による死亡率の低減を目指したものである。

2) alanine transaminase (ALT):

 ALTは、主に肝臓に存在する酵素で、肝細胞の損傷や破壊により血液中に放出されるため、肝機能の評価に使用されます。ALTの血中濃度の上昇は、肝炎や脂肪肝、アルコール性肝疾患、肝硬変、肝臓がんなどの肝疾患を示唆することが多い。

3) metabolic dysfunction-associated steatotic liver disease(MASLD):

   従来脂肪肝は非アルコール性脂肪性肝疾患肝硬変(nonalcoholic fatty liver disease:NAFLD)とアルコール関連肝疾患に大別されてきた。MASLDは2023年に欧州肝臓学会、米国肝臓病学会、ラテンアメリカ肝疾患研究協会などが合同で、NAFLDなどの脂肪性肝疾患の病名を新しく定義したものである。変更理由は従来のNAFLDに含まれる“alcoholic”および“fatty”は不適切用語であると見なされたためである。

4) restricted cubic spline(RCS)解析:

   RCS解析は、統計学において非線形関係をモデリングするための一手法である。この分析手法は、特に医療統計や生物統計学でよく用いられ、リスク因子とアウトカム間の関係を探る際に有用な手法である。

5) receiver operating curve (ROC) 解析:

   ROC解析は診断やスクリーニング検査の精度評価に用いる解析である。検査におけるカットオフ値や、陽性者を正しく陽性と判定する感度、陰性者を正しく陰性者と判定する特異度、陽性者のうち真に疾患を有している者の割合である陽性的中率、陰性者のうち真に疾患のない者の割合である陰性的中率を判定できる。

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