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ALT値が示す新たな脂肪性肝疾患リスク

共同通信PRワイヤー / 2024年7月22日 14時30分


【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407223922-O5-P3ee09L6】 


 次にFatty liver index(FLI)7)とHepatic steatosis index(HSI)8)についても同様に検討しました。FLIはBMI、腹囲、中性脂肪、γGTPから、HSIはAST、ALT、BMI、性別、糖尿病の有無からそれぞれ算出される指数であり、脂肪性肝疾患のバイオマーカーとしてそれぞれ有用であることが報告されておりますが、MASLDの観点からは検討されておりませんでした。ALTと同様にMASLDを有する受診者はそうでない受診者と比較して有意にFLI (54 vs. 7; P < 0.001)、HSI (37 vs. 28; P < 0.001) が高値であることが示されました。RCS解析ではFLIあるいはHSIが上昇するにしたがってMASLDのオッズ比が上昇することが示されました。また、男性および女性のサブグループにおいてもFLIおよびHSIの上昇とともにMASLDのオッズ比が上昇する結果でした(図2)。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407223922-O6-5c87Z3ge


 ROC解析では、MASLDに対するFLIのAUCは、全体で0.90、男性で0.87、女性で0.93であり、HSIのAUCは、全体で0.88、男性で0.86、女性で0.90であり、FLIとHSIの間でMASLDの検出能に有意差はありませんでした(図3)。一方で、HSIでは男女間のカットオフ値の差が小さいのに対し、FLIでは男女間のカットオフ値の差が大きいことが示されました。このことからFLIとHSIはともに健康診断におけるMASLDの拾い上げに有用であることが示されましたが、FLIを用い る際には男女別のカットオフ値を検討する必要性があることが示されました。

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202407223922-O7-dm1yPhej


 以上のことから、年齢中央値46歳の大学職員において28%(男性38%、女性18%)にMASLDがあり、ALTが有用なマーカーとなることが示唆されました。またMASLDを特定するためのカットオフ値としてALT 29 IU/Lが算出され、日本肝臓学会の提唱する「奈良宣言2023」においてALT値が30を超えていた場合、まずかかりつけ医等を受診することの推奨は健康診断におけるMASLDの観点からも妥当であることが明らかとなりました。また、FLIおよびHSIは診断能の高いMASLDの指標であることも示唆されました。本研究結果により、職域健康診断においてMASLDを効率的に拾い上げる方法が確立され、MASLDの早期発見・進展予防に寄与することが期待されます。

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